成績発表

2学期に行われた、全国統一試験の結果が、発表され、松平裕也は、全国で、3位。県では、当然の1位。噂は、町中に広がり、校内では女子のあいだで「松平裕也ファンクラブ」が、出来るほどであった。

「松平くん。あなた、凄いわね。いきなり全国3位。わたしなんか、校内53位。下から6番目よ。このままだと、秋にこの町最大のイベントの「イノハラサミット」でロシアの大統領への謁見は、あなたね。絶対決まりよ。県で最も優秀な高校生が選ばれるみたいだし。」

「三田村さん、ちょっと聞いていいかな。」

「なに、何でも聞いて。」

「この町の人達は、ロシアのこと、どう思ってるのかな。」

「昔から姉妹都市だったみたいよ。良くわかんないけど、わたしは嫌いじゃないわ。あなたは?」

「そうか、わかった。」  

       1年前

「どうだ、マジェンスキー博士、成果は出ているのか。将軍が成果を望まれているのだ。」ドミニーク大尉は、焦っていた。

「来年の「イノハラサミット」までには、必ず間に合わせます。ご期待ください。」

「うむ、博士、これは私だけではない、ロシア国民の悲願でもあるのだ。」

「わかっております。」

現在の、ロシア情勢は、混沌を極め、現大統領に対しての反感が爆発し、軍はもはや、やもなしとクーデターを画策するに至り、大統領暗殺計画、通称「PP」、またにいう「パンドラプロジェクト」を決行したのである。

そして、この計画は、軍のクーデターに、非常にナーバスな大統領が「イノハラサミット」において、一瞬の気の緩みを最大のタイミングと考え、もっとも大統領に接近し得る人物の選定であった。それが、最短距離型人間殺戮兵器 日本型パンドラ12号 日本名「松平裕也」なのである。

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