(ショートエッセイ⑥)昨日を歩いた
この年末年始は実家に帰らないほうがいいかな。両親も若くはないし、猫村は都心に通勤してるし。
同じ市内に住んでいるわけだから「帰郷できない」というのとは少しニュアンスがちがうのですが。
◆
11月の3連休に、ふと思い立って電車に乗り、実家の最寄りのJRの駅で降り、そこから私鉄の駅まで数キロの道を歩いてみました。家には寄らず。
知った道ですが、少しずつ、いろいろなことが変わってしまって、子どものころとはかなり違う景色に見えました。田んぼや畑もまだまだ残る郊外なのだけど、季節のせいか、なんとなく昔より荒れているようで。
路上では、知らない子どもたちが遊んでいました。自販機で温かいお茶を買い、母校の前を通って、私鉄の駅まで歩きました。実家にはときどき帰ってるけど、高校の3年間毎朝利用していたこの駅から電車に乗ったのは、何年ぶりだろう。こんなに古ぼけた、さびしい駅だったっけ?
嫌なことも、楽しいこともそれなりにあったはずの過去が、急におそろしく遠ざかり、色あせたように感じました。紺の制服で本ばかり読んでいた17歳の自分が、全くの他人になってしまったみたいな。
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