(ショートエッセイ⑩)colour me pop

 何年も前、猫村は髪をピンクにして黄色いコートを着ていたときがありました。


 と話しても、リアルのわたしを知る人はあまり信じてくれません。それ以前のわたしも、それ以後のわたしも、そんなタイプに見えないでしょう。実際ぜんぜん似合ってなかったし、相当イタかったはずです。ああいうのはセンスがないと無理です。笑われて当然だと思います。


 でも、これからだって、なにか別の、もっと似合わない、もっとずれた、もっとイタいことをするかもしれない。

 そういう可能性の切れ端くらいは、ずっと握っていたいと思うのです。

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