怒りの裏

 苦しい。彼女が肩が震わしている。


 支えたい。


 そう思う自分が許せなかった。


 胸の内がきしむ。耳障りの悪い音を立てて、耳障り良い言葉を並べようとしている。


 苦しい。息が吸いたい。


 弱い自分が居た。彼女に甘えっぱなしな自分だ。


 別れよう。


 言った言葉は確かそんなものだ。そんな……。


 顔は見れない。捕まれる袖は振り払う。


 冷たい言葉が飛び出てしまった。


 延々と繰り返されそうな動作に苛立ちを覚えてしまったのだ。どの口がと腸が煮えくり返る。


 誰が傷つけた。誰が怒らせた。


 彼女は悪くない。


 何を謝らせているんだ……。


 こんな言葉が、一見耳障りの良い言葉が……毒だ。


 離れることは辛い。でも離れることが一番相手のためになる。


 ある人の顔が浮かぶ。


 怒っている顔だ。


 ふと嫌な予感がした。


 解答を間違えているかのような、胸の奥がざわつく感覚。


 彼女の声がいやに響いた。必死な様子が、その意味の解釈が違うと訴えている。


 間違えてるとしても、変えられないよ。

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