香水
携帯に来たメールは次の授業が休講という知らせだった。ソファを軋ませて脱力する。
少し暇になった。次のバスは暫く先だろう。五分前に大慌てで走っていた数人で察しが付く。
知り合いが居ないか周囲を見渡す。そばの階段から人が下りてきていた。知っている顔だ。名前を呼ぶと彼女はあっと声を漏らした。
一つ席を空けて彼女は座る。長袖の上着が緩やかにしわを作った。
会話の中で意味ありげな視線が向けられる。それに上着を何度も着直す様子は少し気になった。
どうしたのか聞くと油断しましたと返ってきた。意味が分からないが彼女は慌てている。
彼女はバスの時間を指した。確かに急がないと長蛇の列ができてしまう。急いでそこに向かう。
何とか乗れたが満員電車ならぬ満員バスだ。まだ乗り込もうとする人に後ろから随分押される。
謝って彼女のそばにつめると、慌てた様子で近付かないでくださいと言われる。顔を赤らめて、香水を付けてないからと呟いていた。
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