カの女 その2

 休日のショッピングモール、俺はドサリとソファーに座り込んだ。


 視線の先は原因であるあいつら。


 服を見て、帽子を見て、靴を見て、今はまた服だ。


 かの女が手招きしている。


 立ち上がると少しふらついた。


 色々なことに気を使ったためか、予想以上に疲れているみたいだ。


 ニセの彼氏役だが、どれだけ効果あるのか。


 少なくとも男の方にはバレてるだろう。


 やろう……分かってて仕組みやがったな。


 ちらりと向けてきた視線は挑発的だ。


 だが、真相は読めた。


 あの男の彼女があいつに何か相談したんだろう。


 友達からの相談ついでの愚痴をあいつは俺に愚痴ってきているからな。


 それが転じて今のデートになったのだろう。


 ふと、偽物でも悪くない。そう思えた。

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