2人と1匹

 手を引かれてバスに乗り、やって来たのはグラウンド。


 無数の木々が緑の香りを運んできた。


 ここは地面がでこぼことしているためスポーツには向かないだろう。


 足に何かが絡みつく感触がした。


 ゴールデンレトリバーの毛は日に照らされて黄金の様。


 首の辺りをわしゃわしゃっと優しく撫でる。


 するとピタリと動きを止めてお座りした。


 撫でるのを止めるとお座りの姿勢のまま刷り寄せてくる。


 そんな俺と1匹を、荷物を抱えたあいつが楽しそうに見ていた。


 悪い、と言って俺は荷物の半分を奪い取る。


 片手が空いたことであいつはバッグからフリスビーを取り出した。


 その途端に犬は走り初め、投げられたフリスビーを上手い具合に空中でくわえる。



 3時間も遊ぶと疲れるな。


 ふぅと息を吐いてあいつが敷いたレジャーシートに座った。


 ん、と口に咥えつつもう片方のパピコを渡される。


 犬はテニスボールにじゃれていて、こいつも暫く休憩みたいだ。


 周りには男2人と1匹しかいない。

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