炎天下

 陽炎かげろう揺らめくアスファルト。


 炎天下の中、僕は20分近く人を待っていた。


 約束の時間をとうに過ぎているのに文句は出てこない。


 それは彼女に惚れているからか、暑さで思考が出来ないからなのか。


 毎度毎度待っているなと思った。


 過去25回のデート全てにおいて彼女は遅れて来ている。


 でも怒ったことは無い。


 長い髪を整えるのはもちろん時間が掛かるだろうし、いつもしている大人っぽいメイクは1時間くらいで終わるかどうか。


 そもそも女性が身嗜みだしなみに時間をかけるのは当然だ。


 だから決して僕とのデートが嫌だとかじゃないはず。


 あれ、でもこの前学校で、30分以内で済ませてるなんて話をしているのを聞いたような気が……いや、考えてはいけない。

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