肉薄


汚いだろう

わたしのさくひん

えづくように吐き出した言葉は

タバコのように空へ立ち上り

あっという間に空を覆う


覆っても一瞬がいいところだ

空まで登らず落ちていくのが常

登ったものも大抵は

神を名乗る集団に食い散らかされる


出来が良ければ次を望み

出来が悪ければ嘲笑い

何と強欲!何と繊細!

私の言葉は未だ財布の中で息を潜めている


けれど、何かを求めるのだ

嘲笑と詠嘆とで賑わう町の中に

私は1人で立っている

足元に殴り捨てた筈の承認欲求を

いつのまにか抱いて立っている


汚いだろう

私の作品かお

つけた傷は深く、照らした命は重い

それでも

肉薄したこの無機質な画面の反対側で

あなたの浅い息遣いまでが聞こえるから



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