第5話 「ゆづ救出大作戦さんっ!」
「大切なことを忘れてました。」
僕は華氷先輩の胸の中でそう言った。
忘れてはいけないこと。僕と華氷先輩は二人で一人。
「あの時華氷先輩が言ってくれた言葉、今思い出しました。」
「うん。私はゆづの悲しむ顔を見るのが世界で一番嫌いなの。だからね、ゆづ⋯⋯。ずっと笑ってられるようにさ私がそばで守ってあげるから。」
「はい⋯⋯」
「てゆうことで同居よ!」
「⋯⋯へ?」
ん⋯⋯? あっれれ〜おっかしいぞ〜? 今すんごい感動のシーンだったよね⋯⋯? なのに華氷先輩はなんで冗談を言い出したんだろ。
「む! 今冗談とか思ったでしょ⋯⋯。ばかゆづは! 今日から私の家に住みなさい! 会長命令よ!」
「な、なんでまた急に!」
「いいから住みなさい! ゆづのそばにいた方が守れるしいいでしょ!」
「そ、それはそうですけど⋯⋯。それだと
「確かに⋯⋯。なら私がゆづのお家に住むわ。」
これは決定事項らしい。
既に華氷先輩は今日の夕飯を考えている。
華氷先輩がこうなると止められないことは誰よりも知っているから諦めるしかない。
僕は大人しく同居されることにした⋯⋯。
いや、実はと言うととても嬉しい。
だからだろう。家に帰っていつもなら軽くあしらう映姉さんに甘えたりしてしまったのは⋯⋯。
〜プチ回想〜
『おかえり! ゆづくん!』
『映姉さん! ただいま!』
そう言って僕は高いテンションのまま映姉さんに抱きついた。なんでそんなことをしたのか自分でも分からない。
『え!? ゆ、ゆづくんが⋯⋯ついに結婚を認めてくれた⋯⋯!』
脳内お花畑な姉は僕の行動をプロポーズと受け取ったらしい。幸せそうでなによりだ。
『それより映姉さん。今日から華氷先輩がうちに
『え? なんでまた急に⋯⋯?』
『怒らないで聞いてくれる⋯⋯?』
『う、うん。』
僕は学校でのこと、そして今日起こった華氷先輩との事を全て話した。案の定姉さんはブチ切れた。
『だけどまあ、それなら仕方ないか⋯⋯。ちょっと⋯⋯本当に本当にちょっとだけ嫌だけどいいよ』
〜プチ回想終了〜
ということがあって現在に至る。
僕は今何をしているかと言うと紅茶を淹れてお菓子を用意していた。華氷先輩はアールグレイが好きなのでそれにしておいた。
楽しみだなぁ⋯⋯華氷先輩が来るの。
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