2.不穏な空気とイケメン先輩

プロローグ


入学して二ヶ月が経った。そろそろ僕もこの学園に慣れてきて、制服も着こなせるようになってきた。


でも一つ、入学したての頃から変わったのは女子からの告白が増えたこと、それに伴って男子からの評判は悪くなっていったこと。




多分僕のことを悪く言っている側の人たちは僕に気づかれていないと思って陰口を言っているんだと思う。だけどそんなことはなくてだいたい『また僕のこと言ってるな』って言うのは分かるものだ。




まぁ、それが酷くなって直接いじめに発展とかは今のところなさそうなので大丈夫だろう。




僕は今日も一人でいる。でも一人じゃない。


僕には華氷はるひ先輩が居る。だから頑張れる。


本当は行きたくない学校も華氷先輩と一緒に行ける、生徒会で一緒に居られる、一緒に帰れる。そう思うと行きたくなってくる。




僕は学校に向かうために玄関を出て、華氷先輩の家へと向かった。







side鈴音すずね




私、島崎しまさき鈴音すずねは今日も学校に向かう。私は入学してからの二か月でびっくりするほど変化した。



1番大きい変化は人生で初めて『一目惚れ』をしてしまったということ。

今まで人を好きになったことはあるけど、一目惚れで好きになったことはなかった。



だから自分でもあの時の体に電流が流れたような感覚は忘れられない。






あの時、入学式の日。私は一人の男の子に一目惚れした。その子の名前は朔間悠月くん。


中性的な顔立ちで清潔感のある髪型、それでいてどこかソワソワした感じの雰囲気をまとう彼のことを『かっこいい。かわいい』と思ってしまった。



そしてラッキーなことに私は朔間くんと同じクラスになることが出来た。そして神明学園イケメンランキングで彼が一位に選ばれた時は、当然だと思った。




私は得意のコミュ力を発揮して彼に話しかけ、何とか友達と呼べるくらいの仲にはなれたと思う。




今日私が学校に向かうのもはっきり言って彼に会うため。





それほど私の中には彼が侵入していた。

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