第14話 「デレデレ華氷(1章最終話)」
- 第十四話 -
「ゆづ〜! 今日も可愛いわね〜!」
「は、華氷先輩っ!? やめてください!」
「え〜いいじゃない!」
「よくないですっ! 他の人に見られてますから」
そう。僕はなんと生徒会室の前で向こうから走ってきた華氷先輩に抱きつかれて頬をスリスリされている。
(二人だけの時だったら素直に喜べるのに⋯⋯。)
場所が悪い。生徒会室の前と言うと、つまり廊下だ。ということは当たり前のように生徒が行き交うわけで⋯⋯。それに、華氷先輩は学園一の美少女とも謳われているし、生徒会長だし僕は僕で一年生から生徒会副会長をやっているし⋯⋯。ある意味有名人の二人なんだから注目されないわけが無い。
「じゃあゆづはこうされるの嫌なの⋯⋯?」
「っ!? い、嫌なんじゃなくて⋯⋯その、恥ずかしい⋯⋯って言うか、こういうのは二人だけの時に⋯⋯」
「ふふふ。二人だけの時だったらしていいのね!」「あっ⋯⋯。」
(やっちゃったよ⋯⋯。まぁ、こうして抱きしめてくれるのはすごい嬉しいからいっか。)
「あの⋯⋯。会長、それから朔間くん⋯⋯そろそろ会議を始めたいので二人の世界から戻ってきていただけますか?」
「「か、河本さん!? いつからいたんですか?」」
「え? 『ゆづ〜! 今日も可愛いわね〜』からですけど?」
その時二人は思った。
(それいっちゃん最初やん!)
「まあ、いいわ。ゆづ会議行くわよ」
「は、はい⋯⋯。」
会議はつつがなく終わり、僕と華氷先輩は一学期後半に控える球技大会に向けての書類の整理やこれまでで起きた問題、地域の方から寄せられた苦情やお褒めの言葉をまとめていた。
「さ、帰りましょうかゆづ!」
「はい!」
(あ、もうこんな時間だったんだ⋯⋯。)
時計の針は最終下校時刻である午後七時半を指しており、恐らく集中していたから時間が経つのが早く感じた。
そうして僕と華氷先輩は並んで帰路についた。
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