第11話 「放課後デート2」

- 第十一話 -

結局落書きを時間いっぱい楽しんだ後僕と華氷先輩は雑貨屋さんに来ていた。そこにはちょっとしたアクセサリーや服、あとはインテリアなんかも置いてあって僕も華氷先輩もお気に入りのお店だ。


僕はルームフレグランスがきれていたので補充用の物を買って、華氷先輩は手袋を買っていた。


(それにしても⋯⋯この華氷先輩めちゃくちゃ可愛い⋯⋯。宝物にしよう⋯⋯。)


そう。今僕が見ていたのは先程撮ったプリクラだ。撮った写真はスマホに保存することができ、僕は早速RINEのアイコンに設定した。


「ゆづは他に行きたいところとかない?」

「あ、クレープが食べたいです! 僕が特別に奢ってあげますよ!」

「え、いいわよ! 私が奢るわ!」

「いえ僕が!」

「私が!」

「いいゆづ。年上には譲ることの出来ないプライドというものがあるのよ。だからね、後輩は大人しく先輩に奢られるものなの。それが常識なのよ。」

「そ、そうなんですか⋯⋯?」

「えぇ」


(そう言うことなら仕方ないか⋯⋯僕、常識も知らないんだ⋯⋯。)


そうして悠月はクレープ屋さんの前まで連れてこられた。





side華氷


「いいゆづ。年上には譲ることの出来ないプライドというものがあるのよ。だからね、後輩は大人しく先輩に奢られるものなの。それが常識なのよ。」

「そ、そうなんですか⋯⋯?」

「えぇ」


(ゆづが⋯⋯ゆづが落ち込んでる!? 大変よ! どうしましょう⋯⋯。無理やりすぎたかしら⋯⋯ごめんねゆづ⋯⋯。ゆづの好きないちごクレープ買ってあげるから許してね⋯⋯。)


なぜだか分からないけれどゆづは私が奢ると言ってから落ち込んでいた。


表情が暗いし、雰囲気も暗かった。


「ゆづ⋯⋯。何にする?」

「あ、僕いちごのやつがいいです!」

「いちごね。わかったわ!」


「ゆづ。少し大人の話をするから離れていなさい」

「はい⋯⋯?」


「私は白崎華氷よ。分かるわよね? お金ならあるわ。最高級のいちごを使いなさい」

「か、かしこまりました白崎お嬢様!」



「はいゆづ!」

「あ、ありがとうございます!」


ゆづはいちごがふんだんに使われたクレープを幸せそうな表情でパクパクと食べていた。


(そんなに美味しそうに食べてくれるとこっちまで幸せになるわね⋯⋯。)


ゆづは勢いよく食べ過ぎたのか鼻に生クリームをつけていた。その姿が可愛らしくてまた私はゆづのことを好きになっていた。


「華氷先輩ありがとうございます!」


そう言う悠月の顔はこれまでにないくらい幸せそうだった。

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