第10話 「放課後デート」

- 第十話 -

放課後。side華氷


「華氷先輩! 帰りましょ!」

「えぇ。」

ようやく待ち望んだ放課後がやってきた。いつも学年が違うから学校では一緒にいることが難しいけれど、朝の登校時と放課後の帰宅時には一緒にいれるからこの時間は至福とも言える。


私とゆづはお互い隣に並んで歩き始めた。周りの男子や女子が騒がしいけれどそんな喧騒も気にならない。それほど私の頭の中はゆづでいっぱいだった。



それから他愛もない会話が続いた。

そして私は例のことを言おうと思い口を開いた、その時だった。


「「少し、遊びに行きましょう」」

「え? ゆづ今なんて⋯⋯?」

「え、遊びに行きましょうって」

「ほんと? ふふふふ。」


「「あははは⋯⋯」」


私たちはどうやら同じことを考えていたみたいでそれが嬉しくて、可笑しくて二人で声を出して笑った。






『次はこのポーズ! さん、にーっ、いちっ! はいチーズ!』

そんな声が個室の中に響く。


モニターにはぎこちない笑顔でピースをした二人の男女が映っていた。


そう。私たちはプリクラを撮りに来た。


私にはプリクラなんて無縁のものだったけれど青春と言って思いついたのがこれくらいだったから撮った。


それに⋯⋯


(なんなのこのゆづ!? 可愛すぎるでしょ!?

反則よ! 可愛いが渋滞してるわ!)


そう。当たり前のことだがプリクラの写真は盛れる。つまり可愛くなる。私にとって元かは可愛いゆづに加工が付けば敵無しだ。可愛すぎる。


私は必死にニヤけそうになるのを我慢して落書きに勤しんだ。







side悠月


(え!? なにこれ可愛すぎますよ!? 華氷先輩の恥じらう笑顔! それにこの控えめなピース!

あぁぁぁぁ! 可愛いぃぃぃ!)


僕と華氷先輩は一緒に遊びに来たついでにゲームセンターでプリクラを撮った。



そこで可愛さが倍増した華氷先輩を見て悶えていた。


僕はニヤけそうになるのを必死で抑えて落書きに勤しんだ。




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