第9話 「喧嘩⋯⋯?」

- 第九話 -

イケメンランキング発表の翌日。僕はいつも通り華氷先輩と登校していた。


でもいつも通りだったのは校門に着くまで。そこからは異常だった。


「朔間くんおはよ!」「おはよう朔間くん!」

「おっは〜朔間っち〜!」などなど⋯⋯。


おそらくは昨日のランキングで注目されてしまい色んな人から声をかけられる。それは女子だけではなく男子からもそうだった。この学園で『一位』になるということは嬉しいけど少し大変なんだなぁとそんな呑気なことを考えていた⋯⋯。

隣で不穏な空気を作り出している『氷姫』がいることも忘れて⋯⋯。


「ふふふ⋯⋯ふふふふ⋯⋯」

「え、華氷先輩!? どうしちゃったんですか?」

「いいえ。何も無いわよ。女子に挨拶されて鼻の下を伸ばしてるような後輩が私にいたかしらって考えていただけよ。」

「うっ⋯⋯。すみません⋯⋯。でも、鼻の下は伸ばしてませんよ!」

「あら? 本当かしらね⋯⋯。」

「はい! 正直怖いです⋯⋯。」

「ゆづ⋯⋯。」


「おっはっよー! 朔間くん!」

「あ、島崎さん。おはよう」

「⋯⋯。ゆづ? この子は⋯⋯?」

「あ、同じクラスの島崎鈴音さんです!」

「そ、そう⋯⋯。私は行くわ。」

「はい! じゃあまた放課後!」

僕と島崎さんは教室に向かって歩き始めた。


にしても華氷先輩⋯⋯やっぱり怒ってたかな⋯⋯。放課後時間があれば一緒に遊びに行きたいな⋯⋯。そこで何かプレゼントを上げて怒りメーターを下げよう!


僕は名案が思いついた自分に感心しながら放課後を待った。



side華氷


なんなの⋯⋯。私はゆづの彼女でもないのに⋯⋯。嫉妬してしまう。私は自分に嫌気がさしてゆづと離れて1人で教室に向かうことにした。


私が教室に入ると相変わらずザワザワとして主に男子からの視線が気になる。もうこの学校に通い始めて一年以上経つっていうのに全然なれない。


なれるどころか日に日に不快に感じるようになっていく。


最近の私はおかしい。自分でも自覚があるほどに。

ゆづがほかの女の子と話している姿を見るだけで胸が締め付けられる。ゆづとお付き合いしているのだったらそれは普通かもしれないけれど私たちはあくまで友達。それ以上でも以下でもない。なのに私が嫉妬する権利なんてない⋯⋯。


頭では分かっていても気持ちとしてはモヤモヤしたままになってしまう。そんな自分が嫌だ。


ゆづ⋯⋯怒ってるわよね⋯⋯。何か帰りに買ってあげよう⋯⋯。ショッピングモールに誘ったら何かしらはあるでしょう。よし! 決めたわ! いつもはゆづが誘ってくれるけれど今回は私が誘って先輩らしくクレープでも買ってあげよう。


そしたらゆづも少しは機嫌を取り戻してくれるでしょう!


私は名案を思いついた自分に感心しながら放課後を待った。








結局は仲良しな2人だった。

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