第5話 「ようこそ神明学園生徒会へ」

叡明学園に入学してから二週間。そろそろ学校にも慣れてきた感じがする。入学式で絡んできた早川くんはあれから一度も話していない。


僕は相変わらず一人での学校生活を送っていた。慣れれば一人での学校生活も大して辛くもない。辛いことといえば体育の時のペア探しくらいだ。今日は体育もないので何も怖いことがない。


僕はいつも通り一応真面目に授業を受けてお昼休みになった。


『校内放送。一年五組朔間悠月君至急生徒会室に来てください。』

え、今呼ばれたのって僕だよね⋯⋯? 僕、何かしたかな? しかも今の声って華氷先輩⋯⋯。

不安になってきた⋯⋯。


僕は不安になりながら生徒会室に向かった。

そしてドアをコンコンとノックしてから「失礼します」と言い、ドアを開けて中に入った。


「ようこそ! 叡明学園生徒会へ! 私たちは君を歓迎するよ。」

「は、はぁ⋯⋯。華氷先輩? どういうことですか?」


ここからはざっと流れを説明する。

まず、今までこの生徒会は副会長がいないという異例の形で運営していたらしい。で、その副会長枠に僕が入ることになったというわけだ。まぁ、これで華氷先輩と常に一緒にいられるんだと思えば副会長枠に入ることも悪くは無いけど。



今日は副会長になって初めての会議だ。少し緊張しているけど、楽しみでもある。実は以前会った人以外にもまだいるみたいだからその人がどんな人か少し不安。


生徒会長は華氷先輩。副会長が僕。書記は華氷先輩と同い年の河本小春かわもとこはる先輩。会計が同じく石川大輝いしかわたいき先輩。副書記が鹿島優希かしまゆうき先輩。副会計が唯一の同い年加藤実かとうみのるだ。綺麗に男女三人ずつに別れている。



「あ、ゆづ! 生徒会室向かうところ?」

「華氷先輩! はい! 良かったら一緒に行きませんか?」

「えぇ。行きましょう。」

偶然華氷先輩と会ったので生徒会室に一緒に行くことになった。


なんだか周りからは「は?」っていう感じで見られているけど、それは無視しといて今は大好きな先輩と一緒にいられることを喜ぼうと思う。


「白崎さんっ!」

ん? 誰だろう⋯⋯校章の色が緑だから二年生だ。ということは華氷先輩のお友達かな⋯⋯?


「ゆづ〜。今日の放課後は予定空いてる?」

無視っ!? まさかの無視ですか? 

「華氷先輩⋯⋯? なんで、怒ってるんですか?」

「怒ってないわよ? 私はゆづと一緒にいられることが嬉しいの⋯⋯。」

「っ!?」

そ、それはずるいですよ⋯⋯先輩⋯⋯。


「白崎さん? 無、無視はないんじゃないかな?」

そうだよね? やっぱり無視してるよね?


「うるさいです。幸せな時間を邪魔しないでください。」

⋯⋯。怖っ!? 華氷先輩ってこんなに怖かったっけ?


「ほらゆづ。行くわよ。」

「は、はい⋯⋯?」


そう言って強引に手を引かれて生徒会室に行きました。




その後で二年生の男子たちが血の涙を流していたのはこの二人が知るはずもなかった。

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