第4話 「入学式」
「ところでゆづ。なんで叡明を受けたの?」
「それは⋯⋯。」
先輩は意地悪だ。多分気づいている。だってニヤニヤしてるし、それを言えるほど僕がメンタル強者じゃないことくらいわかってるはずなのに⋯⋯。
「うふふ。冗談よ。さぁ、行きましょう。」
そう言って先輩と歩いて登校しました。
「さぁ、入学式なのだしもっとシャキッとしないとダメよ?」
「は、はい。分かってるんですけど、やっぱり怖くて。」
「うふふ。大丈夫。私がいるわ。」
「は、はいっ!」
だって怖い。さっきから周りの視線を独占しているのだから。何故だろう? まぁ、先輩は美少女だし、注目されるのは当たり前だけど⋯⋯。僕は慣れてないんだし、そもそも人に見られるなんて怖すぎるから⋯⋯。
そんなことがある中僕は何とか入学式を終えてこれから一年間よろしくするクラスに向かった。
周りの人達は一緒のクラスになれたかどうかで一喜一憂していたが、僕の場合はそんなことをする友達がいないので静かにクラスへと入ってきたわけだ。
「お前⋯⋯あの白崎先輩とどういう関係なんだよ!」
「ひっ⋯⋯。」
クラスに入って諸々のことを済ませたあとなんかガラのわるそうな人にいきなり絡まれたし⋯⋯。怖すぎるし⋯⋯。華氷先輩⋯⋯助けてください⋯⋯。
「な、なんですか⋯⋯。」
「は? なんですかじゃねぇんだよ! どういう関係なんだって聞いてんの!」
「ひっ⋯⋯」
本当に怖い。
「あら。私の可愛いゆづに何をしているのかしら?」
「は、華氷先輩⋯⋯」
「あ、白崎先輩。どうも初めまして。僕、
よ、弱み⋯⋯? どういうことなのかな⋯⋯?
「何を言っているのかしら。私はあなたに興味はないの。とっととそこをどいて欲しいのよ。私の視界に入らないでくれる?」
お、おぉ⋯⋯。助けて貰ってる側だけど怖いな⋯⋯。華氷先輩って怒ったら怖いんだ⋯⋯。
「だ、だってこんなやつが白崎先輩と釣り合うわけないじゃないですか」
「はぁ⋯⋯。しつこいわね。ゆづ行こっ。」
「は、はい」
華氷先輩は僕の手を引いてクラスから出してくれた。
ていうか⋯⋯普通はこれ、逆だよね⋯⋯。だってだいたい男の子が女の子を助けるよね⋯⋯。はぁ、情けなくなってきた。
「ゆづ。大丈夫? 何もされてない?」
「はい! 華氷先輩が助けてくれたので!」
「そう? 良かったぁ⋯⋯。」
大変なことがあったけど、結局華氷先輩が優しくしてくれた一日でした。
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