横断歩道

いつもは気にしないけれど。

今日は、たまたま、目に留まった。


そんな出来事で世の中は出来ている。



今日、私は、横断歩道を見た。

黒くて、白い横断歩道。

私たちの命を守る横断歩道。


まだ、書きたての真っ白な横断歩道は、汚れを知らない。

ただ純粋に、そこにいる。


でも、黒い横断歩道は知っている。

汚れを知っている。

そして、己の無力さも。


真っ白な、横断歩道...だったそこには、黒いラインがいくつも引かれていた。


あぁ、汚れてしまった。




私は、汚れたの。

私は、あなたたちを守るためにここにいるのに。

スピードを出して曲がる車のタイヤの跡。 これが私を汚していくの。

私は、あなたを守りたいのに。

だから、ここにいるのに。

私は、なんて無力なの。

一緒にいるのに、気が付かなくてごめんなさい。



白い横断歩道の声を聞いてみよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Kioの日記~文学でなら本心も~ Kio @sakabe0208

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ