文才

先生は言った。


「いい文章を書くんだね」




今日、先生に小論文を添削してもらった。

その小論文は、今日の朝、書き始めたもので、放課後までに間に合わせるために、授業中も、休み時間も、出来る限りの時間を費やして書き上げたものだった。

でも、やはり長時間、集中して書いたものと比べると、見劣りする。

私自身、その小論文に納得はしていなかった。


しかし、先生は言った。


「いい文章を書くんだね」


と。

私は嬉しかった。

小さな頃から本が好きだったし、数年前から、執筆活動にも手を出し始めていた。

いつか、小さな賞でもいいから誰かに認められたい、とも思っていた。


でも、嬉しさの反面、不安もあった。

私が人から誉められる文章を書くとき、その文章は私が時間をかけて、書き上げたものではなく、直感的に短時間で書き上げたものなのだ。


私の熟考は人から評価されないのか。

そんな考えも頭によぎった。


「あと、4、5年でもっといい文章を書くようになるだろうな」


先生の言葉が聞こえた。


先生の言葉が光に見えた。

私の未来を少しばかり照らす光。

不安がっていても仕方がない。


直感を怖がるな。

直感を自分のものにしろ。


私は言葉を紡いでいく。

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