27話
ニュービー達がザワっている。
いや、分かるぜ気持ちは分かる。やっぱミドル的にはウワデスゲームかよダリィ~~~~~程度かも知れねーけど、ニュービーからしてみればもうは???????としか言いようがないもんな、は??????って言う。何なら俺も言ってるもん……は???????????????俺はザワつきながら思った。記憶消去型デスゲーム、やはり実在していたのか……こいつは今年のデスゲームGM地雷行動ランキングが楽しみになってきたぞ。
いや何、記憶消去型デスゲームについては、スレで定期的に「あるんじゃね?」って予想は建てられていたんだ。
こんだけサンプルが集まれば、もう個人の信条とかではない組織的な情報統制を疑うゴミ共も出てくる……そいつらが主張したのが記憶消去型デスゲーム、って訳よ。理屈としては要するに「例の
この仮説が提唱されたのは……確か、スレでの活動がレールに乗ってきた頃だ。あの頃は未知の存在が
もっとも、その可能性も―――
俺は目の前の
―――こいつを前にすれば、薄いと言わざるを得ないがね。
◆
ギスギスがヤバい。
「なんでこんなゲームに」「うるさい」「これ蘇生薬とかの裁定どうなってんだろ」「殺すぞ!!」「は?」「やめろって」「死ね」「とりあえず自殺してみてくれる?ぶっかけるから」「いやいやいや」
は???????は一定の閾値を超えて負の感情に変わった(元々負の感情だったのでは?)ようで、そこら中でニュービー達がいがみ合いをしている―――こう書くとつぶらな瞳をしているまだ何も知らないような新米が争っているような印象を抱くが、実際の所このゲームの
「ヤッてやんよクソがァ!!!!!」
物理的バトルに発展!!!!
こ、これは止めるべきか……!??!??俺は考える。基本的に俺やゴミ共はPKをあまり好いていない……みんなで仲良くデスゲームこそが真理だと考えている。それならば、特に止めない道理は無いのだが……でもなぁ。辺りを見渡す。ニュービー達は……いや、
俺が悩んでいた、矢先。
「バッカじゃねえの!?!?!?」
叫び声が、聞こえた。
ま、まさか俺以外のゴミがいたのか!?!?そうだ考えてみれば当たり前だ、仮GMからゲームが送られてきたその日にデスゲーム・デーが始まるってことは明らかに
そして、2秒足らずでそれは訪れた―――どうやら初期装備らしきゴミは、太陽を背景に演説を開始したのだ。
「バッカじゃねの!?!?!??いや二回言ったけども、二回言う程度にはバカだよお前らは!!!!何!?!??いがみ合いって何!?!?!?ンなつまんねー理由でPKしてんじゃねェ~~~~~ぞアホォ!!!!PKってのはさぁ、あれだよ?そんな
俺は泣いた。
◆
おは無~~~。(挨拶)
謎の演説の後漂い始めた微妙な雰囲気は架空の太陽の放つ少々幻想的
いやほんと、正直もう「おは」ではないんだよね、「こん」の段階に足を踏み入れつつある……しかも「こん」と言っても、どちらかと言えば「にち」よりは「ばん」だ―――二階級特進してんじゃねーぞクソがよ……こん無~~~。(挨拶)
それで、だ……
「イヤ俺は悪くないって……だってそうじゃんよ、お前らスレ民のクソみたいな選民思想と俺の原理主義トークでいったい何が違うってんだ?そうだよ、中身だけだ。そしてそれは世の演説全般に言えるワケね。世界の構造が悪いよ、構造が」
「おは」氏を卒然として我々の前から去られさせた他ならぬ原因が、初期装備の鎧に付けられた用途がよく分からない鎖をじゃらじゃらと鳴らしながら俺に話し掛けている
「アーわかったわかったお前は悪くないと仮定することも不可能ではない可能性があるかもしれない……そこについては話さないようにしよう。それよりアレだよアレ……
じゃらじゃらと聞く。ちょっとこのゲームリアル過ぎない?正直鎧で
「まあ大体、お前の想像している通りだ―――いやね、前に参加した賞金山分け型デスゲームでさぁ、スタートしてとりあえずその辺のプレイヤーを2、3人殺ろうと思ったワケよ」
俺はじゃらじゃらとビビった。怖すぎるんだよな……通報していい?
「駄目だし無理だ。でまァそのゲームはアナウンス型でスタートしたんだけども、初期装備のナイフを振り翳した途端さぁ……なんかブゥンみたいな感じの聞き覚えのあるSEと共にGMが出てきたんだよね、めっちゃ焦ってる風の表情で。そんで言ったんだよ―――『このゲームではPKは禁止です!!やめてください!!』ってね」
じゃらじゃらと聞き入る俺に対し、荒らしはじゃらじゃらと続ける。
「でまァは?っつー話なんだよな、賞金山分けってそれつまり蹴落とし合いを想定してますよね?????受け取る奴が減ればその分俺の賞金が増えるってやらせる気満々ですよね?????なのにどうしてPK禁止なんて意味不明な裁定を行う必要があるんですか?????と。俺はそう言いたい。というか言った。そしたらなんかGMが『デスゲームのことを何もわかってなかった』『リリースは延期します』『教えてくれてありがとう、フレンドになってください』っつってきてさぁ……ンでその後紆余曲折を経て今に至る、っつーワケ」
そうかぁ……俺はじゃらじゃらと伸びをしながらじゃらじゃらと考えた。何というか、その……
「……クズでは?」
「なんで?」荒らしはじゃらじゃらと聞き返した。
「イヤこう……エ、要するに『人殺し禁止』ゲーをあえて『人殺しOK』ゲーに改変させたわけでしょ?クズじゃん」俺はじゃらじゃらと呆れつつじゃらじゃらと言った。
「……じゃあ逆に聞くけども、お前は何でここにいるんだよ」荒らしはじゃらじゃらと聞き返した。
「…………どうしても許せない仕様があったから、ゴミ共と一緒に袋叩きにしたらなんかGMがフレ申送ってきた」俺は仕方なくじゃらじゃらと答える。
「……クズでは?」
俺はじゃらじゃらと黙った。
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