26話
VRアクションゲームは、死にゲーになりやすい。
そもそもVRという媒体における
でだ、大半のデスゲームは
現在俺が行っている、
◆
なんかデスゲーム化した。
イヤこう、エ?って話なんだけどマジでしたんだよね……まず俺がサァ、【称号を獲得しました:死にたがり】と訴える邪魔なダイアログを振り払いつつゥ?剣をリスポーン地点の真上に投げた状態で舌を噛み切って「リスポーン」ボタンを連打してェ、それを利用して
そしたらさァ~~~~~なぜか急に「YOU DIED」メニューが消えたわけよ。ンでアレ?みたいな、リスポーンボタンの理論値って後0.1秒くらい遅くなかったっけ?みたいな感じになってェ、それで慌てて辺りを見回したら……
◆
広場は、曇天とは別に、普通にデスゲームをプレイするならそうそう聞けないような種類の喧騒で覆われていた。ノーマル・デスゲームのようなニュービーとゴミが入り混じった喧騒でもなければ、VRツクール製デスゲームのようにゴミ一色の喧騒でもない―――この場にいるプレイヤーは、ほぼ全員がニュービーだろう。
俺はいつものように「ふざけんな、金返せー!!!」だのと喚こうと思ったが、どうにも気が乗らない……まさか、
俺が悩んでいると、様式美的に
そしてその混沌も、すぐに消える。
数瞬後、エフェクトがあった場所には……代わりに、豪華な衣装に身を包んだアバターが佇んでいた。騒めきの音量が臨界点に達し、アバターがそれをジェスチャーで制す……間違いない、あいつがGMだな。断定GMの出す豪華な威圧感に圧されたのか、騒めきは急速に縮んでいく……いやそこは抵抗しろよ抵抗、そんなんだから消費者として軽んじられちゃうんだぞ!!!!!俺は特に抵抗することも無い状態を保ちつつ思った。
断定GMが―――豪華な衣装によって隠された―――口を開く。
「この『ブレイバー・ブレイク・オンライン』が―――只今よりデスゲームと化したことを、ここに告知する」
一度収まった騒めきは再び一気に膨張し、曇天の落とす影と共に混乱の渦を作り出した―――「どういうこと!!?」だの「帰りたい」だの悲痛な叫びが口々に叫ばれるが……一方、いつものようなゴミ共の「やったぜ!!!」だとか「消費者庁!!」だとかの狂気的な狂喜は―――ひと声として、見当たらない。なんかヤだなこの空気……俺が居心地の悪さを覚えていると、断定GMの再びのジェスチャーによって、広場はまたしても静まり返った。オォ~~~~やるじゃん断定GM!!!!俺の断定GMに対する好感度が上がった。イヤやっぱさァ、アノ10/10ゲーを作ってるところは違うなァ……って言う。9/10ならまぁそこそこォ~~???みたいな感じだけども10/10はヤバいよね、ヤバい。9と10との間にかなり深い溝がある。具体的に言うと17歳以上推奨と18禁くらいの深さだ……強すぎるわほんと。俺の視線を一身に受けつつ、断定GMが続ける。
「ルールは簡単だ―――
ニュービー共には今の発表がかなり衝撃的だったらしく、騒めきは一周回って消えていた―――所謂
「―――何か、質問は?」
断定GMが、発言でもって静寂を破った。
俺は両手を挙げた。慌てて周囲を見回し、
「なぜ2年も平和にやってきたのに突然デスゲームなんて言い出した!!!」
お、ナイス質問。俺は称賛した。ちょうど気になってたところなんだよねコレ、その辺のゴミなんかよりニュービーの方が的確な質問ができる説が浮上してしまったな……断定GMが答える。
「
何だと……!??!?俺はギョッとした。ニュービー共もギョッとし、一周回って静かになった喧騒が更に回り始め、静寂は影も形も無くなった―――指されたニュービーも例に漏れなかったが、いったん平静を保ち―――再質問する。有能だなァ……
「どういうことだよ!!俺はサービス開始からプレイして来たけど、デスゲームをプレイした記憶なんて一つも持ってないぞ、一つも、だ!!!!」
断定GMは彼とは対照的に、質問の終了から間髪入れずに返答する。
「そう、それ―――
喧騒が加速する一方、俺は考える……
「そ、そんなバカなことがあるかよ!!!そ、そうだ、いくら記憶を消すからって、絶対に記憶と現実に齟齬が出るはずだ!!!!!24時間デスゲームをやったなら、現実でも24時間、他の人間とコミュニケーションが取れないってことじゃないか!!!!」
しかし困ったなァ、どうにかして現実世界に『このゲームがデスゲームである』っつー情報を送り出す必要がある。先程の断定GMの発言から考えてスレへの書き込みもメールもできないだろうし……VRシステムのメモ欄を使えないかな?クリックしてみる。
【その操作は許可されていません】
アリャ、ダメかァ。じゃあ次は……
「いえ、事実ですよ―――何せVRと言うプラットフォームには
ウーンスクショもダメ、ボイスメモもダメ……どうしたもんか。メニューを弄って諸々を行い、調べる……ウーン。メッセージボックスは一応開けるようだが、流石に「いつの間にか既読がついている」事に不自然さを覚える自信はないからな……もうちょっと
「さあ、質問は1つまでです―――ゲームを、始めましょうか」
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