25話
俺はブラウザをそっ閉じした。
如何に科学技術が発展しようと、既に
……まあそういうわけで、
◆
エー一件目、「お久しぶりです!!」開かずにゴミ箱に移動したうえで「削除されたメール(30日後に消去)」欄からも抹消し次へ、「DeathGameTest/第九階層実装のお知らせ」オッ来たか、アミューズメメントがひと段落したら行こうかな……いやTestは新階層実装の度にセーブデータがリセットされるシステムだしもうちょっと
◇
「アミューズメメント・オンライン/サービス一時停止のお知らせ」
おいゴミ共、このメッセージを読んでるか?エ?ゴミ共ォ。お前らのことだからメールボックスをのほほんと消化していたところ目に留まったこれに対し「イヤ待てやマジで!?!??」と焦り慌てて日付を確認し、そしてそれがアレがリリースされた時より後のものと知りこいつは何かあるなと若干ためらいつつこのメールを開いたことだろう―――アタリだよ。まさか実稼働時間わずか4、5日程度で一度このゲームに幕を引く必要が生じるとは思わなかったが……まあ、いつかは「こうなる」だろうと予想していた。「こうなる」っつーのは要するにさっき書いた『何か』だな、なぜサービス一時停止レベルでデカい問題を引き起こしうる『何か』を知りつつ放置してたのかっつーと、まあ正直に言えばお前らを舐めていた。流石に1週間くらいは持つだろうと思って修正を後回しにしてたらコレだもんな、コレ……ああ、まだ『何か』について書いてないからコレと言ってもわかんねーか……すまんね、この文章は書き起こし型思考入力ソフトで書いてるから、前後に文章を挿入するのがダルいんだわ。
まあアレだ、『何か』っつーのは要するに……「奈落ダイブ」だ。イヤ正直言ってお前らの穴掘りテクを舐めてたよ、いくらゴミ共でも手でDigDigする以上そう簡単に奈落には辿り着くまいって思ってたらもうあっという間に宇宙素粒子でも観測するの?みたいな穴ができてたもんな、ヤほんと気になるんだけどお前らのその「体幹伸縮式多次元掘削」とかいう謎の穴掘り技どういう原理で動いてるの?明らかにたとえそれがバーチャルな物でも人間の、っつーか生物のするべき動きではないでしょアレ……でまァとにかく、お前らがノリでDigDigしてた穴が深すぎてVRツクール側の上限値に達しちまった訳だ、いくら技術が進歩しようがリソースには限界があるからな……奈落ってのは必ず存在しなきゃならないんだよ。でも、どうせそれを分かってるくせに「まだイケる、まだイケる」ってギャンブル中毒みたいなうわ言をキメつつNPCの死体で作った梯子から降りてきて、あの……形容しようのない動きで地面をゴリゴリやるもんなお前ら。このゲームの設計思想は開園式でも言ったようにロシアンルーレット……要するに「生死が掛かってるギャンブル」だから、ギャンブル中毒みたいなうわ言もある意味正解ではあるんだけどさぁ……呟くところを間違えてるじゃん、って言う。このゲームは穴を掘りながら「まだイケる」って呟くゲームじゃなくて、ジェットコースターに乗りながら「まだイケる」って呟くゲームだってことを理解してほしいわマジで。まあ別に当事者のゴミが証明してるように、奈落ダイブしても「永遠に落ち続ける」だけで死にはしないんだけどさぁ……正直あのまま永遠にアバターを落下させてやろうかとも思ったけど、やっぱ1200円(税抜)は貰ってるし一応助けることにしてわざわざコンソールで面倒な作業をやったんだからな……イヤ終わるころには中の人ログアウトしてたけども。
まぁとにかくそういうわけで、アミューズメメントは奈落ダイブ問題が浮上したんでしばらく運営を停止させてもらう、ちなみに奈落ダイブの余波で地割れが発生して諸々が崩壊しちゃったから、復旧にはかなりの時間が掛かるぜ……正直バックアップ取ってなかったのを後悔してるよ。
ちなみに、シーズンパスの有効期限が一時停止中に減るなんてことはないから安心してくれよな……じゃあね。
◇
えぇ……
俺は困った。
とりあえず本文を読んでいるうちに溜まった苛つきをこれでもかと論理マウスに乗せ、若干乱暴な挙動でメールウィンドウを閉じる。アイコンがグルグルやってネットワークをなんやらしている事を知らせる間も、俺は考える―――や、えぇ……最近こういうパターン多くない?こう、デスゲームを攻略してていい感じのトコまで行くんだけど最終的にそのものが
【ダウンロードが完了しました:1/1】
それまで何の
―――そうだ、さっき仮GMから送られてきた高評価ゲーを遊べばいい!!!!!
そう、基本的に俺はデスゲーム一辺倒だが……別に
一瞬後には、俺の意識は
◆
俺は死んだ。
初手自殺を行うプレイヤーは大して珍しくないのか、特徴の無いのが特徴、みたいな見た目をしているチュートリアルNPCは、頭から真紅を垂れ流す俺の死体を視界にこそ入れるが―――無反応。イヤ、厳密にはちょっと反応している……これはアレだな、
◆
それは、
実践的儀式、である。
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