21話
一日ぶりの『アミューズ・メメント・オンライン』の広場に、ぽつぽつと
恐らく俺と同じように、あのソシャゲをやっていたゴミ共が帰ってきたのだろう……俺は考えつつ、軽く周囲を見回した―――いや待てよ?
その別の所というのが―――俺は視線を落とし、
俺は四方八方から聞こえる爆発音の渦中、さっきから気になっていた
もちろんその
そしてその最速で帰還した、つまるところそれ以降にログインしてくる
一体、誰だ?
◆
速足で向かった観覧車の搭乗口にて答え合わせのお時間だ、数人のついさっきまで泣き喚いてたと思ったら今度は青空を見上げて「きれいだなー」みたいなコトを呟き始める数人のNPC達の中に紛れ込み、明らかにNPCとは違う男アバターが一人、不敵な笑みを浮かべて歩いている……VRツクールのNPCはグラにせよモーションにせよクオリティが低いため、一発でプレイヤーと見分けを付けられるのである。
俺は男へとじりじりと近付く……こいつは遊具破壊の犯人じゃないにせよ確実に何かを
……しかし、その試みは失敗に終わった。
「よう
「イッタイ俺に何の用があるってんだ、ァア???」
痛ェ!!!荒らしが妙にガラの悪い囁きをキメて来た。いやガラの悪い囁きってナニ?????"ガラ"っつー概念と"囁き"っつー概念が反発し合ってるじゃん……
「イヤこっちの台詞なんだよなァ~~~お前こそ何をしてるんだ?オイ荒らしよォ、これは限定公開ゲーだ、ウチのスレに貼られたIDを
「何故かって?―――教えてやるよ、
な、なるほどなァ……俺は臨戦態勢を継続しつつ考えた。どうやらGMのゴミは、面白いゲームを作ると同時にとんでもない迷惑集団を呼び寄せてしまったらしい……
「じゃあなんだ、
「ああ……お前らがあのソシャゲを『こんなの
「何のつもりだ!!!!」俺は聞いた。
「なァに、本来の状態に
「イヤイヤ違う違う、1200円じゃない―――1200円(税抜)だ」俺はリテイクを要求した。
「あーオーケー、全部で1200円(税抜)も払ってシーズンパスを買ったんだ、これくらいは許されるだろ」荒らしは発言をやり直した―――やるじゃねーか。俺はサムズアップした。荒らしもどこか誇らしげに、俺にサムズアップを返してくる。
「いやシーズンパスを買ってるかどうかはこの際どうでもいいんだよね、何でこういうことするの?って言う……俺たちのさァ、努力の結晶をさァ、破壊ィ?破壊したよね、って言う」俺は仕切り直した。
「そりゃお前アレだよ……お前らがあの、デスゲームの
「じゃ何お前、NPCの死体でイロイロせずに遊具を素の状態で使う、常に
「そうだよ」荒らしは答えた。
「そうかぁ……」俺は溜息を吐いた。そうなら仕方ねーかもな……もともと存在していた『こいつとは分かり合えなさそう』みたいな感が増大していくのを感じるぜ……
「というかさァ……」荒らしは何か言いたげである。
「あ、どうぞ」俺は発言権を与えた。
「お前らはこう……デスゲームのことを"
「イヤイヤイヤイヤ」俺は否定した。
「何よ」荒らしは聞いた。
「だってお前、それはあの、あまりに極論じゃん……???という、いやお前らの気持ちもわからなくはないよ、要するにデスゲームっつーあくまでも
「ヤそうは言っても俺はこっちでもちょっと派閥が違ってな……積極的にPKするような奴らよりもうちょっとデスゲーム原理思想に近い感じなのよ、PKマン共は『PKは実装されてるデスゲームにおいて常に
ぐぬぬぬぬ……俺は荒らしと睨み合った。ゴミ共の中にも様々なプレイヤーがいるように、荒らしにも
―――ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピッ
さっきから全方位から聞こえてくる爆発音―――それらすら一時的にとは言え掻き消すレベルで一斉に鳴った、
あくまでも一瞬の物だった電子音が過ぎ去ってもなお、広場のマジョリティは爆発音ではなかった―――ゴミ共の騒めき、Webブラウザを開く際の効果音、ログアウトする際の効果音、そして何より―――
『えー、新しいデスゲームが発見されたらしいんでそれをプレイするためにこのゲームはしばらく休止です、休止!!!!ソシャゲはなんか
ウイ~~~。世界がポリゴンに分解され始める。俺はどうせまた拝める景色だろうと思ったので普段のようになるべく
チープな「GAME CLEAR!!」の文字表示の下に―――荒らしが一人、ぽつんと突っ立っていた。
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