19話
俺はソシャゲをやることにした。
いやこう、アミューズメメントをサボる訳じゃないんだぜ?ただ何というか、遊園地ってのはやっぱ
……まぁ何はともあれ俺はソシャゲをやりたい気分なんだ、ストアで検索を掛けたらおあつらえ向きに本日サービス開始ってのがあったんで落としてタイトル画面で待機中―――いかに電撃のごとく市場に登場したVRが超技術でも、プレイにおける
「わざわざフルダイブしてまで自分とウィンドウ以外存在しない
では、その長所とは何か?
―――そう、批判派は勘違いをしている。あいつらが
つまるところ。
VRシステムを使用してソシャゲをやるメリット―――それはすなわち、
◆
VRシステムの開発販売その他諸々を執り行っている名前を言ってはいけないあの企業は、
そのダークさたるや、場末の匿名掲示板で行われたダーク企業ランキング(投票制)で2位にクインティプルスコアを付けて1位を勝ち取った上で後からそのスレを発見し書き込んだ人間をアクセス履歴から追跡して……これ以上は考えないでおこう、
……まあとにかく、名前を言ってはいけないあの企業には"ダーク"のイメージが分子レベルで結合している―――その数千個ある理由の一つが、
◆
サービス開始まであと5分、そろそろタイトル画面を無意味に連打し始める頃合いだなァ……というわけで開始ッ!!!クリック、キュイーン(効果音)、「もうしばらくお待ちください」のウィンドウ、キャンセルボタン、ポンッ(効果音)、クリック、キュイーン、ウィンドウ、キャンセル、ポンッ、キュイーン、ポンッ、キュイーン、ポンッ、キュ、ポンッ、キュポンッキュポンッキュポンキュポンキュポキュポキュポキュポ延々と仮想の指に同じ動きを繰り返させているうち、俺は徐々にトランス状態に入り始めた。ああ、ジェネオンが!!!ジェネオンがあそこに見える!!!!!
◆
思考加速とは、字面通りVRハードを被っている人間の
それでだ、開発者たちはこの思考加速をどんなゲームに使うかのアイデアを片っぱしから出した―――
例えば、マルチプレイゲームで
例えば、限界まで思考加速して事務作業を行えばかなりの効率性が得られるだろう、いやいや意思同期の観点から言って事務作業にはあまり向いていないだろう。
例えば、加速した思考で二つ以上のキャラクターを同時操作することで、
彼らがそうやって脳味噌を絞る中、数人の集団は自分たちの
「―――思考加速すれば、スタミナ消費15の〈炎獄のダンジョン〉を3秒足らずで1周できるじゃん!!!!!!」
ソーシャルゲーム―――そう、機械的に作業を行い、そしてその行った作業の
◆
キュポキュポやってたらついにサービスが開始したようで諸々のデータのダウンロードが始まった。俺は「あと 2 時間 32 分」とキャプションの付いたローディングバーが5秒後には「あと 10 秒」になってオオッもうすぐかっと思ったらそこからさらに5秒後には「あと 32 分」になりキレた。やってらんねェ~~~~~!!!!!!俺は機嫌を悪くして無機的な白い部屋に寝転んだが、その時何かしらの奇跡が働いてキャプションが「あと 2 分」になったので撤回して気を良くした。イイねイイね……しかし今度は「2分」の状態で固定されていつまで経っても「1分59秒」にならないためさらに撤回してもっかいキレた。ダメじゃねーかカス!!!!!!!
◆
所謂"ガチ"でプレイするソーシャルゲームはつまるところ「受けた苦しみの数を競うゲーム」とも言えるわけだが、スマホでプレイするソーシャルゲームには弱点がある。
人間がいくら「沢山苦行をしたい」と考えても、人体には諸々の限度がある―――睡眠なり、食事なり、寿命なりの。ソーシャルゲームは時として
しかし、VRならばどうか?
VRでは時を止められずとも、限りなく遅くすることはできる。加速だってできるし、光速もエンジンによっては超えられるだろう―――時間的制限は思考加速でほぼない物とできるのである!!!!!これによって、
◆
左から徐々に伸びていたローディングバーはついに右端に到達し、キャプションも「あと 0 秒」に変化―――また別のローディングアイコンが出てきて十数秒ほどグルグルやった後に消失し―――遂に、ウィンドウを埋め尽くすデカい文字で「GAME START」の文字表示……!!!!!よ、ようやくスタートだァ……!!!!!!俺は若干興奮した。なんだかよくわからない幾何学模様的なアレがあっち行ったりこっち行ったりした後、OPムービーが……!!!!
と思ったら、始まろうとしていたムービーにテキストダイアログが割り込んできた。なんだァ通知かなんか?後にしてくれよ……俺がバーチャル溜息を吐きつつダイアログを読み込むと、そこには―――
◆
『デスゲーム開催のお知らせ』
◆
待って?
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