幼馴染み
僕にはずっと好きな子がいる。
隣の家の女の子。
誕生日が偶然にも一緒で、親同士も仲良しで。
平日は彼女とは学校でも一緒だし、帰ってからは宿題したり遊んだりした。
休日は家族ぐるみで遊びに出掛けたりして、最高に楽しい毎日だった。
僕らは何をするのも一緒だった。
幼稚園から高校まで、僕と彼女はずっと同じところに通ってる。
僕は彼女のヒーロー、騎士でありたい。
恥ずかしくて誰にも言わないけれど、ずっと大切に思ってきた。
そんなあの子に、初めて恋人が出来た――
僕の恋心は壊れた。
真っ暗闇の穴に落ちた気がした。
自分が壊れてしまった。
あの子も僕を好きでいてくれてると思っていた。
勝手に僕らは特別だと思っていた。
僕とあの子は大切な何かで結ばれた絆みたいなものがあるって。
僕はため息をつきながら、部屋の窓を開けた。
きりっと冷たい風が僕の部屋に入ってくる。
澄んだ夜空には三日月と金星が浮かんでいた。
くすん、くすん。
泣き声がした。
僕は窓から、あの子の姿を彼女の家の玄関前に見つけた。
慌てて階段を駆け下り、僕は外に出た。
「どうしたの?」
「なんでもない」
彼氏に泣かされたのか?
僕は彼女を抱きしめた。
「彼氏になんかされたの?」
「ちょっと喧嘩しただけ」
僕は昔からのくせで抱きしめたりしちゃったけど。
「こんなことしてたら、彼氏に悪いね」
「えっ? でも私達、家族みたいなもんでしょ?」
違う――
それは違うよ。
僕は。
だって僕はさ。
「僕は君が好きだ」
驚いて顔を上げた君の顔があまりにも可愛くて。
僕は不意打ちのキスをした。
君のリップの香り?
微かに苺の香りがして。
驚いてる君に僕は重ねた。
「ずっとずっと前から君が好きだ」
腕のなかにすっぽり収まったまま、君はじっとしている。
君からの答えは分からない。
ただ初めて口づけた唇は、熱くて仕方がなかった。
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