第28話 ボーナスステージ再び
給料日も終えて、何日か経ったある日。
畑仕事をしていると、一緒に仕事しているピピデの民の様子が騒がしい。
何かあったのかな。
聖域の外苑に行くとラクーの集団が到着したところだった。
到着した集団はてきぱきとした様子でテントを組み立て始めた。
「おう、ランドルフ。どうした」
「ピピデの民の歴史は話したよな。各国に散らばった部族がまた集まり始めている」
「そうなのか。またジャガイモを増産しないといけないな」
「世話を掛ける」
「何人だ」
「はっきりとは分からないが一万人を超えるだろう」
「ここに着いたのは先遣隊って事か」
「ああ、どこも状況は厳しい。外様の扱いでは暮らしていけない。余裕のある所に集まるって訳だ」
ここで問題が。
苗を沢山買いたいが。
「金が足らん。女神よ金をもっと寄こせ」
「女神様にすがっても無駄だ。叶えられた試しは無い」
「人間の世界の事は人間がやらないといけないのか」
「そうだな。それが定めだ」
「なんとかしないと」
「精霊様に作物を急成長させてもらわなくても、なんとか食いつないでみせる。なに、魔獣の肉と少しの野菜があれば生きていける」
「そうだ。あれから一ヶ月は経った。魔力さえあれば妖精がまた生まれる」
「妖精が生まれると何かあるのか」
「女神との取り決めで一人妖精を授かるごとに支援してもらえる。魔力をなんとしても増やさないと」
「魔力を強引に増やすのは命の危険があるとあれほど」
「これも女神との取り決めで不浄な者や魔獣を倒すと魔力が上がる」
「なら、魔力溜りだな」
「それはなんだ」
「不浄な者を生み出す場所で、負の魔力が集まっている。聖域とは正反対の場所だ」
「そこに行けば不浄な者が沢山いるって訳だ」
「夜に不浄な者は生まれ。荒野に散っていく」
「そこを夜に襲撃すれば良いんだろう」
「馬鹿を言うな。夜の魔力溜りは危険だ」
「じゃあどうすれば良い」
「不浄な者の大半は頭が良くない。ロープか何かで封鎖すれば散らばらない。そうすると統率する者が現れるから、聖域に誘導して退治だな」
おお、ボーナスステージ再び。
聖水を沢山用意しとかないとな。
段取りはランドルフに任せて、俺はエーヴリンと聖水作りに励んだ。
◆◆◆
夜、聖域のふちにずらりとピピデの民が松明を持って並んだ。
ラクーが一頭こちらに走って来る。
「王級に率いられた不浄な者がもう少しで到着します」
「みんな、気を引き締めていくぞ」
呼応する声が荒野に響く。
ヒャッハー! ボーナスステージだ。
俺は現れた不浄な者に安全地帯から聖水を掛けまくった。
「危ない。ウォーターシールド」
俺に向かって不浄な者が魔法攻撃してきたのを、ピピデの民の戦士が魔法で受け止めてくれた。
「ありがと」
「気を付けて。なかには魔法を使う不浄な者もいます」
「おう、分かった」
危ない、危ない。
安全運転に限る。
ほどなくして統率者が倒されて不浄な者は散って行った。
「なあ、ランドルフ。今、魔力溜りは空だよな。浄化とかできないのか」
何度も不浄な者を作り出して討伐する事も考えた。
しかし、不浄な者ってのはいない方が良いらしい。
不浄な者ってのは言わば負の精霊。
いない方が良い。
魔力溜りもない方が良いに決まっている。
「やるなら昼間の方が安全だろう。だが、清浄な魔力をすべて集めても無理だな」
「ふふふ、大精霊の底力をなめてもらっては困る。一キロ四方に聖水を撒く事が出来る」
「どうやって聖水を運ぶ」
「ウォーターコントロールの魔法だよ。あれで聖水を車の形にして運ぶ」
「そうか、ラクーに引かせれば」
「そういう事。今晩中に方をつけよう」
エーヴリンが作った聖水をピピデの民が魔力溜りまで運んでいく。
夜が明ける頃には魔力溜りの浄化は終わった。
ふと、魔力溜りがあった所を見ると植物の芽がもう生え始めていた。
ここも聖域になるのだろうか。
エーヴリンには頑張ってもらって今後も魔力溜りは積極的に潰していこう。
さて。
「ステータス・オープン」
――――――――――――――――
名前:シゲル・リョクテ
魔力:0/212
スキル:
サケタの種
国家園
名前ジェネレータ
言語理解
絶倫
賢者タイム
レベルアップ
残金:
319,840円
次の給与まで25日
――――――――――――――――
マイナスの分を入れて三百体ぐらい倒したのか。
ピピデの民が清浄な魔力を使い放題だったから戦果が少ないのだな。
それから高ぶった血を鎮めるために致してしまい、妖精を三人授かり今回の件は終わった。
これで子供の数が十人。
野球のチームが作れるな。
バスケなら2チーム。
後一人でサッカーチームだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます