十五話_「まあ話を聞け」

「まあ話を聞け」

”花人間”はまったく抵抗をしようとしなかった。

多勢に無勢。それが正しい判断だ。


「騙して悪かったとは思ってる。だがな? ここで俺をぶちのめしても、状況は良くならない」


「全部話してくれれば、殴ったりはしない。こうするのが手っ取り早いのは分かるでしょ?」


「そうだな。じゃあ観念して話す」


「まず秋井戸。どうやって見つけたかわからんが、”種”と”花人間”、脳を乗っ取るという理論は的外れだ」


「それはなんとなく分かった。vipの種はかなり育っていたが、脳には影響がなかったから。何が目的なんだ」


「魔力だよ」


「魔力があるべき場所から人間に渡った。それを回収したいだけさ」


「”転換点”聞いたことあるか? その日から、人間の中に”能力”に目覚める者が現れた」


「その代わり、”精霊”から魔力が失われた」


「人間が魔力を掌握できるはずがない。感情というノイズに影響される人間が、魔法を我がままに使えば100年で地球は滅びるだろう」


「”精霊使い”は日夜この問題に取り掛かっている。地球を、未来を、人類を守る為だ」


「俺も一端の精霊使いでね。忙しいったらありゃしない」


「今回のは実験だが、頭のいい作戦だ。俺の所のお頭発案のな」


「失敗したときは、飛行船ごと消し飛ばせば済む」


「慌てるな。俺が無事でいる限り、勝手に爆発したりしない」


ふとしたことだった。なんの意味もないただの現象。

足元が”透明なガラス”に変わっていた。

いや、違う。加庭が”船”そのものをひっくり返したのだ。”花人間”柊坂赫ひいらぎざか かくだけが宙を舞っている。

次の瞬間には床が不透明に戻る。しかし、宙でバランスを崩した柊坂は、重力に従い、落下する。


床にへばりついた男に加庭は顔を近づけた。

「言いたいことは一つだけだ。仕事を紹介しろ。さもなければ宇宙に追放する」

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