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「さて、これでお前の気にする内容は全て無くなった。お前がどの島の生まれであり、何が駄目で、どこに送られたか。新たに知ろうとしても元の、そうであると示す情報が無ければどうにもならない。知っている人間の記憶まで操作することは出来んが『どうして不良品の自分がトラスパレンツァ図書館員に呼ばれたのか』という疑問をお前が持つ必要はなくなったわけだ」
「そ、そんなことして良いんですか!」
「良いも何も、私が扱う私のものだ、どうしようと私以外に文句を言える奴はひとりしか居ないし、その一人はこういう事柄には全く持って関心が無い」
「私はまだここで勤めるとは言ってませんし、契約もしてないのだから貴女が好きにして良いことではないんじゃないですか?」
「あぁ、違う違う。私のものというのはそういう意味ではなく、このデータ自体が私の管轄にあるということだ。ウォールから聞かなかったか? 私はこの島全ての権限権利を持っている総監だと」
確かに、館長でもなく副館長でもない、全ての権限を持っているのだと聞いてはいたが、まさかデータを一存で白紙にしてしまうほどの権限とは思っていなかった
「聞きました。でも」
といまだ信じられないといった風で困っている表情を見せる。
「でも、もし、私が断ったらどうするんです? そんな白紙の状態では私は島で生活できません」
「そのときはまたデータを埋めておけば問題ないだろ。別に元通りにする必要はない。私が好きに埋めといてやる」
「そんないい加減な」
「生まれに不満を持っていたくせにえらく固執するな。こんな記されたデータごときにお前は左右されるのか? 第一、先ほどのデータが真実であるかどうか、それは誰にも分からないのに」
「私が生成されたときからの記録が真実ではないというんですか?」
「じゃぁ、真実だと思うのか?」
「それはそうでしょう。生成された時のことはいざしらず、生まれでてから7島に居て、その後3島に送られたのは自分が知っています。自分の知っていることと記録が相違なければそれは真実でしょう?」
「君の理屈で真実だといっても、もし君自身がそう思い込まされているのだとしたらそれは真実である証拠にはならない。生成記録にしても真実を研究者が書き込んだかどうか、それを証明する方法は無い。まぁ、タイムマシンでもあってその時代その場所その時間、つまりは未来から過去に行きこの目で確認すれば別だろうが、それすらも見たと思い込まされたとしたら真実とは言わなくなる」
「その理屈で物事を考えていくと世の中全てが真実ではないということになりませんか?」
「あぁ、そうだ。よく分かったな」
しれっとそういい、満面の笑みを向けてくる
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