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「
唐突な質問に一度は何を聞いて来るんだと思ったウォールだったが、横目に見た
「
ウォールはそんな
「あと少しで目的地に着くけど、そこでは僕をウォールとかジョナサンとか名前で呼ばないでね。あの場所では僕はWって呼ばれてるからそう呼んで。
「アルファベットって、せっかく名前があるのに」
「まぁ、理由は働けば嫌でも分かることだけど、君が僕たちをあの場所で名前で呼ぶことは、君ではなく僕たちの方に迷惑がかかるから絶対にしないこと。これから勤める勤めないは別にして、あの場所に入った時点でそれは君がやらなければならない義務だからね」
あまりに強い口調で言ってくるので頷きはしたが、それをしなければいけない理由を聞いていない
「ご苦労さん」
ウォールが食事をしていた部屋で響き渡ったのと同じ声が聞こえ、まぶしさに閉じていた瞳を薄く開ければ、燃えるように紅く長い、くせっ毛の髪をなびかせはるか高く積み上げられた本の間から女性が現れた。
スレンダーでありながらも出る所は出て、しまる所は引き締まっている自分よりもずっとプロポーションの良い女性が映りこむ。
「この人がさっきから話題の
「その言い方ではまるで私が全てを牛耳っている極悪人に聞こえるな。新人がびびって逃げ出すぞ」
ウォールの言葉に少し堪え笑いをしながらそういって、積み上げられた本の上に腰を下ろし、ウォールから書類を受け取った。
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