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ふらつきながらやってくるその人影は何度か壁にもたれ掛って一休みしてはこちらにやってくる。
このまま待っていても良いが、それでは日が暮れてしまいそうに思った
「あの、もしかして担当者のジョナサン・ウォールさんですか?」
「そういう君は
「いえ、乗ってきた船が少し遅れてしまって。それにグレゴワール局長が待っていればいいといってくださったので」
ウォールは仄の口からグレゴワールの名が出ると見る間にびくりと体を揺らし、少々低い声色で
困っていたところを助けてもらってそれ以外には何もないというとほっとしたように肩を撫で下ろし大きな息を吐く。
その様子に
「ここはロビーでお客様も多くいらっしゃいますので詳しい話は奥でやりましょう」
「荷物重くないですか? さっきまでふらふらだった人に持ってもらうのはなんだか」
「あぁ、気にしなくて良いですよ。ちょっとお腹が空いていて、ここに来る前にドールに食事を部屋に運ぶように言っておいたんで、今から食事だと思うとこれくらいなんてこと無い」
表のロビーから小さな通路を通って「関係者以外立ち入り禁止」表示の向こう側にやってくれば、長い廊下の左右に等間隔で同じようなドアが並んでいる場所に来た。
番号や目印になるものなど何も無い、全て同じに見えるドアだが、右側奥から3番目の部屋に躊躇なく入っていくウォール。慌てて
ドアを通過する際に体がしびれるような感覚があり立ち止まって周りを見たがこれといった変化は無く、首をかしげながら
普通ならぱたんと小さくてもドアの閉まる音がするはずが、自分の背中からは何の音も聞こえてこない。
ちゃんと閉めたかどうか確かめようと振り返ってみればそこにあるはずのドアは無く、真っ白な壁が迫るように聳え立っている。
「あ、あれ、ドアが」
驚き壁に手をついてドアを探している
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