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事前にもらっていた案内書には担当者とロビーで待ち合わせることになっていたが、予定の時刻より少々遅れて着いてしまったためか案内書にある写真の担当者が見当たらない。
仕方なく総合案内と書かれている受付に行き、説明をして呼んでもらおうと思ったが、なぜかそこに居る女性は同じ内容を繰り返し口にするだけで一向に連絡を取ってくれる気配は無かった。
「あの、この施設の説明を受けたいのではなく、私は担当者の人と連絡が取りたいんです」
少女が怒鳴るように言った声をロビーに居た一人の男性が聞き、少女の後ろから声を掛ける。
「それはドールだからね、プログラムされていない内容に答えてくれることは無いよ」
突然掛けられた言葉に驚きながら振り返ってみれば、細身でありながら服から出ている腕にはしっかりとした筋肉がつきストレートの美しい金髪を後ろで一つに束ねている男性が居た。
男性は、瞳を大きく開けて驚き自分を見上げる少女の手から案内書を取って、1枚目に目を通し今度は男性の方が驚きながら聞く。
「第3島からの入館者とは珍しいね。第3島だけあって戦闘項目にはマイナスが付いているけど、マイナスが付いたものが入館してくるのも珍しい。一体どこの部署に配属なんだい?」
「そ、それは、内部機密事項なので言えません」
「僕は。あぁそうか! ドールを知らないし案内書を持っているということは君は初入館か。僕を知らなくても当然だ。僕は戦闘管理局の局長グレゴワール・フェルネス」
「局長クラスの方だったんですか! す、すみません。失礼なことを」
「いやいや、知らないのは罪じゃないからね。で、どこの部署なの?」
「えっと、すみません。実はよく知らなくて」
機密事項だと言っては見たが、実際少女は自分の配属がどこであるのか知らされては居らず、確認の為に問い合わせをしても当日担当者に聞けといわれるだけだった。
下を向いてばつが悪そうにする少女を横目にフェルネスは、先ほど少女から取り上げた案内書に再び目を通す。
「第3島出身、
フェルネスは担当者の名前を読み上げて、一人勝手になるほどと納得していた。
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