世界的な争いごとが絶えなくなったとき、星や神様が怒ったのか大規模な天災が起こる。

 地が揺れ、波が押し寄せた地表は阿鼻叫喚とともに海へと没した。

 それでもわずかに残った地表で生き残った、それまで争い合っていた人々は共にその巨大な災害に言葉を無くす。

 何もかもが奪われ、ただ命だけをつなぎとめた人々は「生きる」と言う共通の目的が生まれ、今までの争いが嘘のように自然と協力しあっていた。

 地表として残ったのは、間に大きな海を挟んでたった3つ。

 初めの頃こそ連絡手段は無く、それぞれが独立状態で生き残る為の努力をしていたが、後に一つの島から一人の男が船を作ってそれぞれの島を訪れる。

 互いに生き残っていた人々が居たことを喜び合い、男は自分の島で出来上がった技術を、島の者は自分たちの技術を共有し、さらに生きる希望をつなげていった。

 そうして橋渡しを行っていた男はある日、数名の男女をそれぞれの島から連れ出して、自分が見つけたまだ誰にも知られていない、男が海へと出たからこそ見つけることができた島に上陸する。

 そう、大きな陸地として残っていた島は3つではなく4つあったのだ。

 男は島の存在を他の島の者たちには一切話すことは無く、自分が連れてきた男女を島の中心部にある建物へといざなった。

 それから数十年後、島の存在は他の島にも知れ渡ることになる。

 知れ渡ると同時にその島をめぐって島同士の争いが起こった。

 その争いは数百年がたった今でもなお続いている。

 大きな荷物をもって港から船に乗った少女は、争いの中心となっている島の周りに作られた人工島に住んでいた。

 島を中心に距離こそは違えど取り囲むように12個の人工島が存在している。

 少女が住んでいたのは第3島と呼ばれ、北から右回りに3つ目で、主に生産、販売業に従事した者達が暮らす島。

 その場所から本島への入館者が出ることは今まで無く、少女が始めての入館者だった。

 第3島はどの島よりも本島から距離がある。

 故に、少女は朝一番の船で出港したにもかかわらず、本島についたのは昼を過ぎてしまった。

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