敗ノ敗ノ敗
ふと若い頃の愚かな記憶が蘇る。
あの頃は何でも自分中心であったというか、他者を見下して生きていた。
無論理知的な部分では謙虚であろうとしていたが、周りが馬鹿に見えて仕方のない病理を患っていたため、根本の部分で他者を軽蔑自分、無意味に悦に浸っていたのだ。もしかしたら理知の部分で抱いていた謙虚さえ自尊心を満たすための自己陶酔であったようにすら思える。俺はあの時ひたすら馬鹿で物を知らず、絶えず愚かであったから、あり得る話だ。
こうして歳を取ると、かつての過ちが利子付きで返ってくるため酷く恥じ入る。勉学に勤しみ、教養を身につけていればこんな事にはならなかっただろう。いやはやまったく、怠けてはいかんなと痛感しながら、怠惰に酒を飲み自己嫌悪に浸る。
もう十年したら、俺はまた今の自分を思い出し、赤面しながら自らを嘲笑するのだろうか。そう考えると、本質的に何も成長していないなとやるせなくなる。いやいや未来の俺はもう少しまともになっているだろうと一縷の望みを託すも、滲み入る酒がそれを否定し、酩酊による現実逃避を促す。
飲もう飲もう。どうせ俺は駄目な人間だ。駄目だから、毎日酒を飲むのだ。この飲酒が後悔に繋がるのであればそれまで。所詮は人生、恥じてなんぼ。悔いてなんぼ……
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