眠れぬ部屋の……

 深夜二時ともなるとさすがに眠らなければまずいという考えに至るわけだが眠気が訪れないのだからどうしようもないわけである。


 酔いも回り思考も鈍くなってきてそろそろ眠れるだろうという塩梅で床に入ったのにも関わらず、暗闇に慣れると目が覚めてしまう。目蓋を閉じていられなくなり、ついスマートフォンでくだらないニュースなどを眺めていると、余計に夢から遠ざかってしまい今に至るというわけである。若い頃ならともかく、寝不足などに陥れば確実に生産性が落ちてしまう。既に手遅れであるが、さっさと寝なければ明日(今日だが)の仕事が壊滅的なデキとなるのは明白なのだから、無理やりにでも意識を飛ばすべきである。


 俺は「よし」と呟きスマートフォンを置いて目を閉じた。身体を布団に預け深呼吸。夜の闇に呑まれていく感覚をイメージし、神経を副交換に切り替える……


 ……



 数分後、俺はスマートフォンを覗いていたわけである。

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