母親の再婚をきっかけに母親のもとから離れることになった主人公、花奈。
彼女が暮らすことになったのは、一度も会ったことのなかった父親の家。
その家の使用人である千夏に恋をするという物語です。
序盤ではじわじわと距離を詰めていく気配をともなって物語が進んでいきます。
しかし中盤からは二人の関係性の進展に加速がかかります。
一度加速するともうブレーキはかかりません。
物語の勢いに読者は振り回され、心を奪われてしまいます。
この物語のもう一つの特徴に、二人が落ちる恋に存在する引力めいたものがあります。
再婚をする母親に連れていってもらえず、父親にも関心を抱かれていない花奈。
花奈の抱える孤独は彼女を恋へと誘惑します。
恋に引き寄せられやすい心が、まさに今から恋へ向かおうとする様も見どころです。