11:WHITE EYES

 昔からそうだった。

 みんな、僕のことを白い目で見ていたんだ。

 父も、母も、兄も。

 血が繋がっている、家族なのに。

 なんでこいつだけ、劣っているんだろう。

 なんでこいつだけ、出来が悪いんだろう。

 なんでこいつだけ、完璧な自分たちと違うんだろう。

 そんな侮蔑に汚れた白い目で、僕のことを見るんだ。みんな、みんな。

 たまらなく嫌だった。

 見られたくなかった。

 消えてしまいたかった。

 僕なんか、いなくなってしまえばいい。

 そうすれば、家族はみんな満足するだろう。

 僕みたいな、いてもいなくても変わらないようなどうでもいい人間は、透野家に要らない。

 僕が消えれば、完璧な家族が出来上がる。

 だから、僕なんか、世界から消え去ってしまった方がいい。




 ……ふざけるな。

 僕が、何をしたっていうんだ。

 僕は、何も悪くない。

 僕は、何も悪くないんだ。

 なんで、みんな僕のことを無視するんだ。

 僕は、ここにいるのに。

 僕のことを見てよ。

 血の繋がった、家族でしょ。

 ねえ、

 無視しないでよ。

 ねえ、

 僕のことを見てよ。

 ねえ、

 僕の目を見てよ。

 ねえ、

 父さん。

 ねえ、

 母さん。

 ねえ、

 

 照兄ちゃん。


 そんな眼で僕を見ないでよ——————。

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