第十七話 フハハ! お互いノッてきたな? よし、続けようじゃないか!
異なる色に輝く瞳がこちらに向けられている。ここにきて初めてみたな。まぁ『双魔魔法』の情報は結局得られなかったから仕方あるまい。それにしても二人合わせると『四属性魔法』の魔法が使えるのか……。
ここで疑問になってくるのが、この『双魔魔法』がたったそれだけの能力なのか? って事だ。大抵の攻撃を防ぐ
「あらん♪ センセ~? どうしたのかしら?」
「ふ、我が誰かはバレておるわな。表ならともかく、我はそんな事では揺らがんぞ」
「へぇ~、それは残念だわん。それじゃあ、久しぶりにノッテきた事だし、覚悟しなさい?」
「それはこっちの台詞だ!」
お互いに距離を詰める。スピードはこちらの方がはやい。先手は我がいただくぞ!
先程とは違い、手数で勝負をしていく。吸排拳壱式『
「アチシも仲間に入れて♪」
くっ! 妹もこちらに参戦か。
一旦距離をとって、
「
「ガウ! 俺、行く! 義兄上、頼む!!」
勢いよく、双子へと飛び込んでいく
「これはちょっと厄介ね……」
「アチシもこのタイプは苦手だわん」
厄介といってる割にはうまく避けてやがる……。お互いがどう動けばいいかわかっている分、連携がいい。それに比べ、我らは臨時だからな。訓練はしてきたが、双子に比べたら厳しいのは仕方あるまい。それでも我らは負けられぬ。
ここまでは順調だ。否、順調すぎる。お互いにまだ様子見とはいえ、ここまで主導権を握らせてもいいものなのか?
姉が『火魔法』を周囲に放った事でお互いに距離を取ったその時、二人の雰囲気が急激に変わった。まさかここで何かしてくるのか?
「ふふん、とっても楽しいわん♪ こんなに心躍るのはいつぶりかしらん?」
「ホントねん♪ しかも相手がいい漢♡ これがデートだったら最高なのにねん♪」
「そうねん♪ けど、試合だから仕方ないわねん。そろそろ本気でやらないとママに怒られるわ」
「そうねん♪ アチシ、ママンに怒られるの苦手よん。センセ~、ごめんね?」
魔力が一気に高まった。そして二人は背を向け合って繋いだ手を前に出した。
しまった! 油断としてたつもりはなかったが雑念が入った隙を突かれたか!!
「「『
双子が唱えた瞬間、厚い雲が上空に突如現れた。今にも雨が降りそうなそんな様子に嫌な予感が一層高まる。
「
「ガウ!!」
くっ、これは間違いなくヤバい。
「な、なんだというのだこれは……」
まさか、これから振ってくる雨の一粒一粒がこうなるのか??
ゾクっと背筋が寒くなる。これは生半可な防御ではそれごと、燃やし尽くされてしまう!
そして上空から一気に降り注ぐ雨、否、水炎。このままではいかん!!
「『
これはただの『
「あらん♪ さすがアタシ達のセンセ~ねん♪ これを防いだのはセンセ~が初めてよん♪」
「ホントホント~♪ 嬉しくなっちゃうわん♪ 今までだったら魔物だろうと何だろうと一撃だったのにねん♪」
「……であろうな。此度の『魔法』、本来であれば集団戦で本領を発揮する『魔法』であろう? あれだけの雨だ、一度発動したら並大抵の事では防ぐ事は出来ん。……これは予測であるが、この『魔法』が相手では、『水魔法』を使って消火させようとしたとしても、逆に燃え広がるのだろう?」
今も、我の体内で荒ぶる双子の魔力は、我の魔力すら塗り替えよう、そんな概念のようなものを感じさせる。もし、この概念のようなものに負けた場合、我の汗ですら炎に変わってしまう、そんな可能性があるだろう。
「正解よん♪ もし間違って『水魔法』なんて使ったらその『水魔法』を塗り替えて辺り一面が火の海ね」
「そうそう。たった一発でそこまで見抜くなんてやっぱりセンセ~はアチシ達が思ってた通り、只者じゃなかったわん♪」
何より恐ろしいのは、本来であれば相反する属性の『魔法』を合わせている事だ。『水』と『火』を同時に使えば本来であればどちらかが消滅する。それを二人の『双魔魔法』を使う事で完全に融合させているのだ。
「ガウ。義兄上、助かった」
流石の
それにしても、たった一発で形勢が逆転してしまったな。苦しい闘いになるのはわかってたんだが、予想よりもずっと厳しい事になりそうだ。やはり嫌な予感がしたのは正しかった。そして更に恐ろしいのは、おそらく二人の『双魔魔法』はこれだけじゃなかろう。まだ使ったのは『火』と『水』だけだ。二人の瞳にはまだ『地』と『風』の魔力が宿っておる。つまりはまだ最低でも一つはパターンがある事を指している。
皇帝が信頼しておる訳だ。普通であればもはや絶望的な状況といっても過言ではない。だが、我がこの程度の絶望で終わる訳がなかろう。むしろやっと楽しくなってきたところだ。
「
「ガウ! 当たり前だ。義兄上、いつでも、行ける!!」
「あらん、嬉しいじゃない♪」
「もっと殺り合いましょう♪」
フハハ! お互いノッてきたな? よし、続けようじゃないか!
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