第23話 報告と確認
「あっ、ちょっと席外すわね」
「おう」
一度席を立つエルザ。
それを見て、だいぶ余っていた自分のアイスコーヒーの苦さを耐えながらダンシコーは一気に飲み干し、すぐにスマホを取り出して仲間にメッセージを送った
ダンシコー:今トイレ。ヤバい、ドキドキ
花京院翼:キタアアアア! で、何を話したんだ!
エロコンダクター:待ってました大統領!
教祖:トイレ? (*´Д`) まさか、トイレで白河さんにダンシコーくんのアレをFC213いふぉgh
ヒット:いやいや、もはやそんなエロゲーのヌキゲーですらありえないチョロイン展開ないでしょ
サンガ:楽しんでいるようで何よりだ
ハカイ:何を食った!? 肉か!? ステーキか!?
山田五郎:待て、男と女で食うとか食わないとか、それはそれでエロい!
矢沢:白河さんはどんな服装? 楽しんでる?
三上くん:待て、とりあえず俺たちのメッセージ一時中断。ダンシコーからの報告を聞こう。
ダンシコー:おう。実は―――――
そして、トイレの方を伺いながら、ダンシコーは素早く会話の内容や言われたことを即座にタップしていった。
その報告を聞いた一同は……
ダンシコー:―――ってな感じで、白河が俺にタックルしたいから受け止めてって……
一同:( ゚д゚)
ダンシコー:まぁ、こんな感じだ……で、どうだろうか? これは脈ありなのだろうか?
一同:( ゚д゚)
ダンシコー:おい、報告終わりだ。お前ら、どうした!?
花京院翼:すまん……なんか、フツーに聞いててイラっときた……
エロコンダクター:ヘタレダンシコー相手に白河さんがそこまで……
教祖:(*´Д`)むくれる白河さんにタックルされたい( ^)o(^ )
ヒット:応援したくなくなった。爆ぜろ
サンガ:白河氏がラグビー好きとは意外だな。タックルしてみたいという心意気も素晴らしいと思う
ハカイ:骨のある女じゃないか。流石はダンシコーが惚れるだけある
山田五郎:待て、お前ら。同じムサクルメンバーとして、白河みたいな美人と一対一で喫茶店に入って会話することがどれほどの難易度か分かるはずだ! ダンシコーはよく戦った。まずはそれを称えよう!
矢沢:激しく同意。俺なら緊張で何も話せない。
三上くん:身構えすぎ。もっと自然に話せばいいのに
まさに賛否両論のメッセージが激しく飛び散った。
三上くん:とりあえず、脈は別にしてラグビー好きだったりと共通の話題があるんだし、まずは今日一日楽しむことを意識したら? もてなす感じじゃなくて、まずお前が楽しいことをする。それで白河さんも一緒に楽しいって思ってくれるんなら、もっと仲良くなれると思うよ?
ダンシコー:楽しむって言われても、この後は鷹島屋で土産を買うだけだし……」
三上くん:そこでバイバイなんてしたら本当に終わり。喫茶店行っちゃったんなら、ショップ巡り。スポーツ用品店でトレーニングウェアとかジャージとかシューズ選びとか、同じスポーツやってる同士で会話も弾むでしょ? もしくはゲーセンでちょっと遊ぶ。最終目標はプリクラ
ダンシコー:プリクラ?!
エロコンダクター:ゲーセンでカッコいいところ見せようとして、UFOキャッチャーとかに手を出すのは絶対にやめるんだな! 素人がやったら軽く数千円飛ぶ。確率機だったりする場合もあるし
サンガ:スポーツショップで気付いたのだか、白河氏はどこのメーカーを愛用しているかで、また会話ができると思う。アルキ、カジダス、クーマ、アンダーアーミーなどな
花京院翼:サンガくんがまともなアドバイスしている……
ハカイ:メシはどうする気だ? 良く食う女か? それにより入る店も変わるが、やはりステーキが一番だ!
山田五郎:ハカイまでもまともなアドバイス……
ヒット:肉は別にして、昼食は? 流れ的に絶対一緒に食うべし
教祖:サイドリヤはやめとけ。昼間は子連れの客でにぎわってうるさい
矢沢:じゃあ、「俺はいつも部活でファミレスとかばっかだけど、白河とかどういうとこで食ってるんだ?」で、教えてもらうパターンもありじゃない?
三上くん:それアリ。「どこでもいいよ」なんて言われると返って難易度高くなるし、今のダンシコーには無理
という流れで色々とアドバイスをもらったダンシコー。
ダンシコー:大感謝
スマホを通して仲間たちの想いが伝わってきて、涙が出そうになったり、胸が熱くなったりした。
その流れで……
三上くん:で? 脈は別にして、お前は白河さんのこと好きなの?
「ぶっ!?」
それは、あまりにもストレートすぎる、しかし核心を突く質問であった。
ダンシコーの友達であるならば、ダンシコーが白河エルザに対して淡い想いを抱いていることは誰の目にも明らかである。
しかし、本人の口からは何も言っていない。
今日も「白河と二人で買い物。どうしよう?」というのが発端である。
皆もドキドキワクワクしながら楽しんで応援しているが、冷静な三上くんだけはハッキリとさせたかった。友達だからこそ……
「…………俺は………」
ダンシコーがスマホを持つ手に力を入れ、深呼吸し、この喫茶店に入ってからの僅かな時間を思い返す。
そして……
ダンシコー:もっと仲良くなりてぇ……たった数十分の会話でこんなに夢中になるんだから……好きだわ……
打ち終わった直後、ダンシコーはテーブルに突っ伏してしまった。
「……打ってしまった……」
興奮気味な勢いで書いてしまった想い。するとスマホには即座に連続で通知が来て……
花京院翼:( ̄^ ̄)ゞ
エロコンダクター:(^ー^)ゞ
教祖:(`Д´)ゞ
ヒット:( ̄▽ ̄)ゞ
サンガ:(`・ω・´)ゞ
ハカイ:(≧ω≦)ゞ
山田五郎:(─∀─)ゞ
矢沢:( ̄ー ̄)ゞ
三上くん:(•̀ω•́ )ゝ
一斉に敬礼の顔文字が届いた。
それはまさに「健闘を祈る」と言っているようだった。
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