第26話 Soar
「みんな、お待たせっ!」
思いきり、元気よく声を張り上げる。
【始まったー!】
【そあちゃんこんばんは】
【こんそあ!】
いつも通りみんながコメントで挨拶をくれる。
ついに始まった。
みんなで星を見る配信。
ふた月前にはめぐるちゃんとしし座流星群を見た。
デビューする前、わたしが“宙路そあ”になった日には、お姉ちゃんの配信を聴きながらペルセウス座流星群を見ていた。
「テンタイカンソク」───わたしたちは空を見上げ、
「いきなりこんな配信をすることになって、みんなビックリしたと思うけど……」
こういう場で、積極的にコメントを返してくれるのはわたしの常連さん……いつものリスナーさん達だ。
【そりゃもうビックリしまくりだよ!】
【いきなりだったからな……JAXSAとのコラボなんて。前から決まってたの?】
まあ普通はそう思うよねえ。
残念ながら、昨日決まったことです。
改めて考えても我ながら無茶を言ったものだ。
【でも、そあちゃん宇宙に詳しいし、不思議ではなかったよ】
以前配信でそういったことを言ったことがあるような気がする。
家族が宇宙関連の仕事に就いていることも……
あれ?それは言ってなかったっけ?
「こほん……。それでは改めて。初めて来てくださった方も多いと思います。まずは自己紹介をさせてもらおうかと。」
視聴人数がいつもの配信よりも多い気がする。
やっぱりIMAIR、V界隈の外から来てくれている人もいるのかも。
「しあわせ届ける星の子Vライバー、宙路そあです!みんな、よろしくねー!せ~のっ!」
【きらりーん!】
【きらりーん!】
【きらりーん!】
わたしの掛け声に合わせて、みんながコメントでコールを返してくれる。
最初は自分で言うだけだったけど、今ではこうしてみんなで一緒に掛け声を合わせて一体感のある挨拶になった。
「あはは、ありがとうみんな!初めての人は……ちょっと戸惑うかもしれないですけど。聴いててくれるだけでも全然大丈夫だからね!もちろん、よければ気軽にコメントしてくれたら嬉しいです。」
初めてVtuberに触れる人にとっては、アイドルのライブのような感じに見えると思う。
抵抗を感じる人がいてもおかしくはない。
Vtuberという存在がそういう側面を持つことは事実だが、IMAIRはもっと距離感が近い場所だ。
YourTubeであっても、わたしはもっとみんなにとって身近な存在でありたい。
それに、今日のメインはもっと別のことなのだ。
「さて、さっそくだけど本題!今日はみんなで「よだか2」を見るよ!」
配信画面に星空の映像を映す。
これはとある展望台から宇宙を捉えた映像だ。
数多の星がゆらゆらと輝く中、うっすらと小さな点がすーっと少しずつ動いている。
「これが小惑星探査機「よだか2」だよ。小さいけど、ちゃんと見えるでしょ?」
【おおー】と、みんなの反応が返ってくる。
【これってリアルタイムの映像?】
「そうだよ!今「よだか2」は地球の周りを回って、太陽系の別の小惑星に向かうための準備をしてるの。」
【すごい、ちゃんと見えるんだね】
よく絡んでくれるリスナーさん達がコメントで相槌を打ってくれる。
地球のすぐそばを通っているとはいえ、宇宙のこととなるとなかなか現実感が湧かないもの。
それをこうして実際に見てみると、グッと身近なものに感じられる。
こうしたことを配信で紹介する意味はここにある。
【このあいだ息子と一緒に観測会に参加して来ました。あの時はまだもう少し遠くにありましたが、ついに帰ってきたんですね!】
これは、今まで見たことのない名前の人からのコメントだ。
やはり宣伝の効果か、それとも「よだか2」という話題のおかげか、初めて見に来てくれた人もいるみたいだ。
しかしやはりというか、せっかくの「よだか2」の実写映像だという割にはリスナーさん達からは思ったよりも大きな反応は見られない。
世界に誇る小惑星探査機も、映像の上では星空の中に映るただの小さな淡い点だ。
日本が打ち上げ、52億kmという長旅を終えて帰還した宇宙船を捉えている映像というインパクトも、知識が無ければその凄さを身に染みて実感することは難しいのだろう。
「みんな。「よだか2」について、どれくらい知ってる?」
ノボ兄やお父さんのおかげでずっと身近なものとして接してきたわたしとは違って、普通なら「ニュースで聞いたことがある」程度のものなのだろう。
予定通りここで「よだか2」について詳細な説明を……とは、しない。
「小惑星探査機「よだか2」。小惑星オトヒメからサンプルを採取して無事に帰還した宇宙船。それだけ分かってくれてたら大丈夫だよ。」
理解してもらうのは最低限、そのことだけでいい。
おそらくこれもVtuberと同じなのだ。
わたしの自己紹介、“しあわせ届ける星の子Vライバー”。
みんなに知っておいてもらうのは、それだけでいい。
探査機の歴史や沿革、そういった押し付けがましい知識は、いま接してくれている人にとって何の意味もない。
みんなが知りたいと思ってくれているのは、今のわたしたちなのだから。
「実は
そろそろ、とわたしは話し始める。
「星の子Vライバー……わたし、自分でそう名乗ってるけど。実を言うとデザインの段階から、「よだか2」を意識して描いてもらってるんだよね。ほら、シャツのこの柄とか……あと、わたしの髪!このツインテの髪飾りも合わせて、探査機に見えるでしょ?」
お腹の部分のシャツの柄が見えやすいように近づいてみせる。
四角形がみっつ連なったような絵だが、これも立派に探査機をイメージした図柄なのだ。
そして、ましろさんが言っていたわたしの髪型についても。
分かりやすいように、隣に「よだか2」の画像も表示してみる。
金色の胴体に、青黒い太陽光パネルがまるで翼のように左右に広げられている。
【待って、どこかで見たことあると思ったら、ひかりちゃんの髪留め!あれってそのまんま「よだか2」だよね??】
「そう、正解!」
わたしは「よだか2」の画像とわたしの間に、今度はお姉ちゃんの立ち絵を表示する。
こうして並んでみると、改めて似ているなと実感する。
髪の色や雰囲気は違うが、目の描き方や服の質感がそっくりだ。
「前から応援してくれてる人には知ってるよね。わたしには“お姉ちゃん”がいる。この人、星隼ひかり───お姉ちゃんも、実はわたしと同じママなの。あ、“ママ”っていうのは、デザインを描いてくれた絵師さんのことね。バーチャルでの身体を生んでくれたお母さん。」
わたしがそう言うと、いつものリスナーさん達がざわめく。
このことを断言したのは初めてだからなぁ……それも当然だろう。
【え、マジで】
【絵柄が似てるとは思ってたけど、ホントに姉妹だったんだ!?】
「うん。お名前は公開できないんだけどね。頼んだのはそれぞれ別だったから、同じだったのも偶然だったんだけど。」
とはいえ、それが本当に全くの偶然かというと……
ある意味わたしもお姉ちゃんも、ノボ兄という繋がりがあったからこそ、ましろさん……もといシロハヤブサ先生に依頼することになったのだから。
「「よだか」計画は元々「
このまま、「よだか2」の別名のことにまで触れてしまうかは迷ったが……
小惑星探査機「よだか2」、別名カワセミ───
【そうか、だから翼みたいな振袖なのか……】
【二人とも、「よだか2」を擬人化したみたいな姿だったんだね】
幸い、意図は十分に伝わっているようだ。
“
「そういう縁もあってなのかな。わたしはお姉ちゃんとユニットを組むことになった。Vtuberユニット『テンタイカンソク』……わたしと、お姉ちゃんと、あと一人。わたしの一番の親友と!!」
そう言って、わたしは自分の隣の画面を空ける。
「ね、めぐるちゃん!」
【ええっ、ここで!?】
わたしに呼ばれて、めぐるちゃんは慌ててIMAIRを繋ぐ。
お姉ちゃんと「よだか2」の画像は端の方に小さく飾っておいて、いま画面には星空の映像と、わたしとめぐるちゃんの立ち姿が並んで動いていた。
「い……いきなり過ぎない、そあちゃん!?」
「流れ的に、ここしかないじゃん?皆さんご紹介しましょう!『テンタイカンソク』の仲間にしてわたしの親友、書架屋めぐるちゃんです!」
「……ああもう!IMAIR学園の図書委員、書架屋めぐるです。よろしく、お願いしますっ!!」
強引なフリと流れの作り方に、【なんかひかりちゃんのデジャヴを感じる……】【さすが姉妹だねぇ】と、わたしとお姉ちゃんの両方を知る人たちからコメントが飛ぶ。
思えばお姉ちゃんとの初めてのコラボの時もそうだった。
みんなの言うとおり、これもまた姉妹であるがゆえなのだろうか。
「みんな知っての通り、めぐるちゃんは今、休止中。理由は白血病の治療のため……。白血病といえば、血液の
「そ……そあちゃん……?」
喋り続けるわたしに、事情が分からず焦った様子を見せるめぐるちゃん。
もう既に公開していることとはいえ、いきなり
そしてわたしは、ひときわ大きくため息をひとつ吐き、心を決める。
「実はね……」
もう一度、大きく息を吸い込んで───
「───わたしのお姉ちゃんは、
めぐるちゃんの、「えっ」という驚嘆の声が聞こえる。
「4年前にね。わたしは、世界が真っ暗になった気がした……。優しくて、芯が強くて、どんなときでも笑顔を絶やさないような、わたしの自慢のお姉ちゃん。お姉ちゃんはわたしの目標だった。わたしはお姉ちゃんにべったりで、お姉ちゃんみたいになりたいってずっと思ってた。」
めぐるちゃんの戸惑いも分かるが、わたしは構わず話し続ける。
【え、え、「お姉ちゃん」って、ひかりちゃん??】
【いや、「4年前」ってことは、ひかりちゃんのことなわけないでしょ。だよね……?】
【え、これリアルお姉さんの話?それとも、そういう設定??】
コメント欄のリスナーさん達も混乱している。
この話は、“宙路そあ”としては誰にも話したことがない。
完全な、“
「お姉ちゃんが亡くなって、ちょうど1か月後。小惑星探査機「よだか2」が完成したの。わたしには……わたしたち家族には、それがお姉ちゃんの生まれ変わりのように思えて仕方がなかった。だってね、何の偶然なのか、わたしたち家族には「よだか2」の運用チームのメンバーが二人もいたんだから。お父さんと、お兄ちゃん。二人はあの探査機に、わたしたちの大切な家族の魂を託して宇宙へと飛ばしたの。」
さっきから、わたしのスマホにはめぐるちゃんとノボ兄からメッセージがひっきりなしに飛んでくる。
【それ、ホントのことじゃないの?!】【言って大丈夫なのか、それ!?】
だいじょうぶ、ちゃんと分かってるから!
「お父さんもお兄ちゃんも……わたしの家族はみんな、前に向かって進んでた。なのにわたしは何もできなくて、ずっと後ろを向いて、お姉ちゃんのことを引きずってた。わたしはそれを変えたかった……だからわたしは、Vtuberになったの。お姉ちゃんと同じ人工の星になって、みんなを照らすために。」
わたしは、お姉ちゃんになりたかった。
お姉ちゃんの気持ちが知りたかった。
お姉ちゃんのように、誰かの心を照らし誰かの背中を押す存在になるために。
「わたしは“宙路そあ”としてIMAIRでデビューして、この世界にやってきた。そこでもう一度、“お姉ちゃん”に出会ったんだ。その人はわたしの知っている“お姉ちゃん”その人だった。声も、優しいところも、みんなを明るく照らす星あかりのようなところも。そして何より、その人は「よだか2」そっくりだった。わたしには分かったんだ……この人こそ、わたしのお姉ちゃんその人なんだって!」
そう。
わたしは何もかもを包み隠さず話した。
ただ単なる“お勉強”じゃない、わたしと、わたしの家族と「よだか2」が辿ってきた物語を。
【まってどういうことだ?】
【何が何だかもう分からなくなってきた】
【ひかりちゃんはリアルそあちゃんのお姉さん……?でも亡くなってるって……ダメだ混乱してる】
混乱の極みにあるリスナーのみんな。
その中で、ひときわ目立つコメントがみんなへと投げかけられた。
【C-14:とにかく、「よだか2」はひかりちゃんで、そあちゃんのお姉さんってことだね!】
この人は……!
これは、ましろさん───“ママ”からの援護射撃だ。
「そう!お姉ちゃんの正体、それが「よだか2」なんだよ!」
信じられない“正体”の宣言に、コメント欄が騒然とする。
【え、そういう“設定”ってこと??】
【「よだか2」の中に突然変異で生まれたAI……とか】
【お姉ちゃんの幽霊が乗り移ったってことかも?】
【それってそあちゃんのリアルお姉ちゃんの?】
【そんなのあり得ないでしょ】
【ただのフィクションだよね?】
【でも、設定にしては練り込まれすぎてない?】
【うん、壮大なストーリーだ】
【もっと聞きたい。聞かせて!】
喧々諤々、ものすごい勢いで流れるコメント欄の中に、支持してくれる人たちが現れ始めた。
彼らの意思に後押しされて、わたしは話を続ける。
「お姉ちゃんは1週間前に引退宣言をしたよね。あの日はちょうど「よだか2」がトラブルを起こした日と同じだったでしょ?あれからお姉ちゃんは、地球への帰還とサンプルリターンに集中するために活動を止めざるを得なくなった。『私がいるせいでトラブルが起こったんだ。もし失敗したら責任を取らなきゃ……』って。だからわたし、言ってやったの!」
茶化すように、わざとメソメソした声真似でお姉ちゃんの気持ちを伝える。
大丈夫、わたしが───わたしたちが、そんなことにはさせないんだ!
「お姉ちゃんは絶対に戻ってくる!みんなで一緒に、また『テンタイカンソク』として活動するんだって!!」
息をついで、わたしはもう一度、大声で高らかに宣言する。
「お姉ちゃんは絶対に帰ってくる!めぐるちゃんも必ず治って戻ってくるの!わたしが断言する。これは、絶対の絶対なんだから!!!」
「……!……そあちゃん……!」
ハッと、めぐるちゃんが息をのむ音が聞こえる。
これがわたしの決意だ。
絶対に、絶対にもう一度。
ううん、これからもずっと、「テンタイカンソク」は続くんだから!
「それを本当にするために、今日の配信を決めたんだよ。みんなの力を借りたいんだ。「よだか2」は無事にカプセルを切り離した。まさにこの後、小惑星オトヒメのサンプルを載せたカプセルが地球に帰ってくるの。広い宇宙を旅したお姉ちゃんの手土産が───大気圏に突入して、特大の流れ星になるんだよ!」
【流れ星……そうか!】
【なるほど、そういうこと……!】
【大気圏突入のときに、空気との摩擦でカプセルが大きな流れ星───火球になるんだ!】
事実か、設定か。
Vの世界では、設定という名の
“
そこには真も偽もない。
「流れ星に願い事を3回唱えると、願いが叶うんだって!」
バーチャルは、リアルを超える───!
わたしは、配信画面に映した天体映像を別のものに差し替える。
次に映したこれは、オーストラリアのクーバーペディ市、日本からのカプセル回収・観測班が撮影している映像。
「よだか2」のカプセルの再突入を、今まさに観測しようとしているカメラの映像だ。
「みんなで願い事をすれば、絶対に届くはず。だからみんな、力を貸して!願い事は、『テンタイカンソク永遠に!』だよ!!」
【よっしゃあ!】
【まかせろ!】
みんなが口々に意気込みを語る。
みんなの心がひとつになっているのが分かる。
そうだ、これがわたしがなりたかったもの。
わたしの、やりたかったことなんだ!
【光るのってどのくらいの時間?3回唱えられる?】
【一人じゃダメでも、みんなで唱えたら3回どころか何百回でもいけるさ!】
「ちなみに、大気圏突入の推定時刻は2021年1月11日22時02分。火球が尾を引く推定時間は、約10秒!」
【余裕じゃん!】
【おいおい油断すんなよ、あと15分しかないぞ】
【アオイトリでも呟く?ハッシュタグ付けて!】
【いいね、やろう!】
【#テンタイカンソク永遠に !】
【よっしゃ、拡散してくる!】
みんなが動き出す。
わたしたちライバーだけじゃない、ずっと追いかけてきてくれたリスナーさんも、今日初めて来てくれた人も。
協力してくれた人たち、ノボ兄たち関係者、その他にもたくさんの人たちを巻き込んで、まるで大きな渦のように。
【おい、なんかそあちゃんたちのファンアートが上がってるんだけど!!】
「え?」
リスナーさんの一人がそんなコメントを投げてくる。
【ほんとだ、これは……プロの絵師さん?】
【シロハヤブサ……アオイトリじゃああんまり見かけない人だけど】
「え……えぇっ!?」
慌ててわたしもアオイトリを開く。
本当だ、ましろさん───シロハヤブサ先生のアカウントで、アオイトリにイラストが投稿されていた。
───「テンタイカンソク」の今後を祈って。
そあちゃんとひかりちゃんのママ、シロハヤブサより───
「……ま……シロハヤブサ先生……!……ううん、“ママ”───!!」
【ええー!?】
【すげぇ、ホンモノなのか!?】
「そあちゃん、この人って……!」
「うん!正真正銘、わたしたちの“ママ”、シロハヤブサ先生だよ!!」
完全に予想外、思いもよらない不意打ちだった。
こんなものを用意してくれていた、なんて……!
いや、それだけではなかった。
更なる追い打ちをかけるコメントが、書き込まれていた。
【星隼ひかり:もう!こんなのまで用意されたら、戻ってくるしかないじゃない!】
「お姉ちゃん──────!!」
【もう一度地球の引力でスウィングバイするからまた落ちるけど、その前にちょっとだけ帰ってきたよ!】
エンジンを噴射するシークエンスに入ったらまた、また会えなくなってしまうのだろうけど。
それでも、戻ってきてくれたんだ───!
みんながものすごい勢いで食いついていく。
リスナーさん達だけじゃない、わたしもめぐるちゃんも、みんな寄ってしてお姉ちゃんに声を掛ける。
配信のコメント画面がとてつもない勢いで流れていき、もうまるでお祭り騒ぎだ。
「そあちゃん、みんな!21時59分、あと3分だよっ?!」
「っ!そうだ、みんなコメントと願い事、用意して!!」
めぐるちゃんの声掛けで我に返る。
そうだ、お姉ちゃんのためにも絶対にこのタイミングは逃せない。
みんなもわたしも、コメント欄に例の言葉を準備して、あとは投稿ボタンを押すだけの状態にする。
「さあっ……来るよ…………!」
映し出された星空の映像に、フッとひとつ、動く白い点が現れる。
「あ……!」
「来たっ……!」
少しずつゆっくりと加速していく
数秒して、やがて火がついたように点のまわりに光がたなびく。
「今だっ!みんな!!」
みな、一斉にコメントを打つ。
アオイトリの方でも投稿されたようで、
みんなの想いを載せた流星が、ながくながく尾を引いて、
夜空に筆を走らせるかのように、すうっと
仮想も現実も超えた場所で、わたしたちはひとつになる。
これが、
全てを超越した新たな次元に、わたしたちは翔け上がっていた。
──────テンタイカンソク、永遠に。
わたしたちは、これからもずっとわたしたちなのだから。
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