第3話 聖人認定者


 船旅が終わり、ようやく西大陸に着いたのは、ブラス王国になる。

 かなり、ゴットアベンジャーの影響下にある国で獣人は全員、奴隷になっているようだ。


 そこで、アイカ達、獣人は目立つので、踊り子の格好に奴隷の腕輪を付けて、カモフラージュをする事にした。


 奴隷の腕輪は、基本的には犯罪を刑罰で労働させる為に開発された腕輪になる。犯罪者が逆らうと。電流や魔酔針等が腕輪を付けている人物を襲う作りになっている。


 着せ替えた、アイカ達がオレに衣装を見せてくれた。


「どうですか? 似合いますか? ご主人様」


「ボク達が、ご主人様を悩殺しちゃうぞー」


 恥ずかしそうなアイカに、ノリノリのウィンドラ。最近、みんなは、コスプレにハマっているのだが、原因は龍之介だ。


「最近、アイディアが止まらないだ!」


 どんどん、新しいのを作り、アイカ達を着せ替え人形のようにしていた。何処に、向かっているのだろうか……

 

 龍之介は、バレたらまずいので、女装をする事にしたが、こだわりがあるらしく、普通に高身長の美人になった。


「凄い美人になりましたわ……」


「複雑やな。なんとも言えないわ……」


 ナターシャと楓が、引いていたが龍之介は鏡を見ながら頷いていた。


 旅の商人になったオレと、護衛のピースメーカー。アイカ達は、愛人達で龍之介が妻とゆう事にした。


「西大陸は、乾燥地帯が多い。レイ殿、気をつけた方がいい」


 何回か、西大陸に来ている雫達にアドバイスを貰いながら、旅をする事になった。


 馬車を買い、荒地を進む。アイカが景色を見ながら、呟いた。


「なんだか、寂しい土地ですね。レイ様……」


「そうだね。合衆国とは、別世界だな……」


 昔の映画で、ガンマンが荒野を旅するのがあったが、そっくりな景色だった。


 元グレイト王国は、かなり遠い……順調に行っても2、3ヵ月はかかるそうだ。


 馬を休ませる為に、寂れていて小さな村に行ったが、ようすがおかしい……

 住民のほとんどが、怪我をしていた。話を聞くと野盗が魔物を連れて襲ってくるらしい……


「ウィンドラ、村人の話だと野盗かいるらしい、周辺を調べてくれ」


「わかりました、ご主人様。後でボクに、ご褒美ちょうだいね」


 投げキッスをすると、ウィンドラは飛んで行った。婚約してから、ウィンドラは何かが吹っ切れたのか、素直になった。


 他にも気付いた点がある。獣人が1人もいない事

に気がついた。港でも獣人はいたが、ほとんどが奴隷の腕輪をつけていた。


 小さな村だが、1人もいないのはおかしい……

 それに、村は寂れてはいるが貧しい感じではないが、オレ達を余所者と追い出す雰囲気はなかった。


 村人に話を聞くと、獣人を引き渡すと国から補助金が出るらしく、沢山いた獣人は引き渡しだそうだ。奴隷の腕輪がない獣人を匿うと、犯罪者として捕まり、犯罪者奴隷になる。


 罪悪感を感じながら、暮らしている人が多いが当たり前と考える村人も多い……


 北にあるナバル鉱山で、捕まった獣人は強制労働をしている事、鉱山から逃げた獣人が野盗になっている事が、ウィンドラの活躍でわかった。


 捕まっているのは、ハーピー族の仲間、ガルーダ族、ケンタウロス族、一つ目の種族サイクロップス族、人型アリの蟻人族ぎじんぞくが分かった。


「護衛は少ない、作戦を思いついたよ」


 まずは、野盗の根城に向かい、話をする事にした。



♢♢♢




「お前達は、何者だ! 人間め、覚悟しろ!」


 サイクロップスの青年が、叫びを上げる。

 蟻人の少女が短刀を構えていた。みんな、子供ばかりなのと、震えて怖がっている。

 生々しい傷後が、体中にあった。


「大丈夫ですよ。オレ達は味方です」


「嘘だ! 獣人を、奴隷にしてるじゃないか!」


 サイクロップスの青年が叫ぶ。


「ああ、アイカ、ナターシャ、ウィンドラ外して良いよ」


 あっさり、奴隷の腕輪を外す、アイカ達を見てサイクロップスの青年は混乱していた。


「ど、奴隷じゃないのか?」


「オレは、こうゆう者です」


 レイが、取り出したのは、ネックレス。

 トップには、アダマンタイト製でアルク・ガルスが描かれている。


「獣神教会の聖人の証だ!」


 レイは、アルク・ガルスの使いとゆう事が、獣神教会に正式に認められて人間初の聖人なった。


 ネックレスは聖人の証として、送られたが機密情報になっている。なぜなら、獣人の事を良く思わない人間から命を狙われる可能性がある。


 ここにいる、野盗をしていた青年達は、獣神教会の信者で全てを信じてくれた。


「私は、みんなをまとめています。レジーと言います。聖人様、どのような理由でここに?」

 

 先程とは、別人のようなサイクロップスの青年のレジーを見て、聖人は凄いなと感じていた。


「宗教って、ホンマ怖いわ……」


「確かに、こうやって、テロリストが作られるんですかね」


「聖戦とか言っちゃう、ヤツだろ……」


 引き気味の雫達。


「信者から見たら、神に近い存在ですからね。エリカ姉さんが、レイ様が聖人になった時、酷かったですから……」


 エリカは、レイが聖人認定された日に、パーティーを開き、泣いて喜ぶと義理の弟だと自慢しまくっていた。エリカを、追いかけて、止めて回ったアイカは疲れ果て「妊婦なのに……」と呟きながら、倒れた思い出がある。


「作戦を立て、鉱山を開放した後に、国を設立します!」


「「「へっ?」」」


 初めて聞いた。雫達は、変な声を出し唖然としていた。アイカ達は、しょうがないと諦めた、溜息つき。野盗の青年達は、レイの言葉に呆然とした後、泣いて喜んでいた。




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