第4話 革命家としての魂


 強制労働を獣人達にしていた鉱山を、開放するのは、簡単だった。野盗をしていたレジー達に、鉱山を襲わせる。


 レジー達は、監視達とは戦わずに逃げる。逃げた先には、雫達が待機していて監視達を倒す。オレ達は、レジー達が鉱山を襲わせるのと同時に、鉱山内部に侵入。


 ナターシャを筆頭に、監視達を倒しながら、獣人達を開放する。内部から壊滅させる。


 簡単だが、効果的な作戦だ。捕まっている人がまずは闘わなければ、心から変えなければ意味がない事は、オレはよく知っている。


 開放された獣人達を前に、レイは話始める。


「まだ、みなさんは自由ではありません。今のままでは、自分や、家族や兄弟、愛する人が虐げら、屈辱の日々を、尊厳をなくす日々が続いてもいいんですか?」


 鉱山で働いていた、獣人達は黙ったまま聞いていた。


「子供達だけが、武器を取り戦っている事に恥ずかしくないんですか? 尊厳を、誇りを取り戻さなくていいんですか?」


「いいわけが、ないだろうが!」


 その一言を皮切りに、次々と獣人達が叫び泣いていた。


「いいわげがない! 当然の事だ! 自由を国を手に入れましょう! 尊厳と誇りを自分に取り戻す為に! 私が協力します!」


 レイの演説の最後に、聖人の証を高らかに見せる。


「あ、アレは、聖人様だ! 聖人様が味方になってくれるならできる!」


 鉱山にあった鉱物を、根こそぎ奪うと全ての獣人達を連れて、隠れ里を作った。


 アイカもよく説得をしたり、演説をしていたがレイの演説は特別だった。雰囲気や力強さで、普通の人が、演説を聞いた後には、戦士になっていた……


 いつの頃からか、革命家と呼ばれる事も多かった。その経験から今は、勧誘で生きている。


 隠れ里で、代表を決めてもらい、レイ達はあくまで協力者で、決めるのは基本的に彼らだ。


 野盗をしていたレジーをリーダーにして、計画は新たな段階に入った。


「えーと、レイ、姉妹都市ってなんですの?」


 仲間達とレジーが、レイ作成の作戦書を片手に集まっていたが、書類の意味が分からずナターシャが質問する。


「レイ殿、姉妹都市と言っても我々が知る意味とは違うんだろ?」


 雫の質問に笑顔で答えるレイに、あーまたとんでもない事をするなとアイカ、ナターシャ、ウィンドラは感じた。


「本来は、文化交流や友好を目的とするが、今回は、知識とココにいるメンバーの戦力で協力した後は、レジー達が国を運営してもらう」


「ボクは詳しい事は分からないけど、姉妹都市にどうしてするの? 意味がわからないよ」


「オレが抑止力になる為だ!」


 姉妹都市計画は、レジー達が国を作っても他国に簡単に襲われてしまう。

 しかし、同盟では合衆国と釣り合わない。レジー達が合衆国に渡せる物が無い。


 そこで、姉妹都市とゆう事で東大陸で大国に成りつつある。レイ本人が、協力している国。

 間接的にレジー達に攻撃すると、合衆国を敵にする事になる。

 とゆう、超変化球みたいなアイディアを出してきた。

 

「あかん、レイ君が言ってる意味がわからん」


「私、わかりました!」


 朱音が、元気よく手を上げながら言った。


「バックに怖いお兄さんがいるから、手を出すなって感じ、じゃないですか?」


「そんな、ヤクザみたいな手段なのか?」


 雫が、あり得そうで嫌だなと思いつつ聞いた。


「朱音さん、正解です! わかりやすく言うとそうゆう事です」


 溜息を吐きながら、アイカ達が捕捉する。


「レイ様、偶にそうゆう手段をとるんですよ。以外かも、知れませんが効果的なんですよ」


「レジスタンス時代も、悪徳商人や奴隷商人を脅す時の常用手段でしたわ」


「ボクとレイで、悪人退治をした事は、1度や2度じゃないからね」


 慣れているらしく、余り驚いていなかった。姉妹都市とゆうのも、カモフラージュの為に分かりづらくしている。

 こうした方が、真実味があるので抑止力にちゃんとなる。匙加減が、大事なのだ。


「あの〜、すいません。よく分からないんですけど、レイ様が助けてくれるって事ですか?」


 レジーは、考えたが全く分からず、おずおずと質問をする事にした。


 レジーには、キッチリと説明をした。理解するまで、説明は続いた。幹部を決めて、組織を運営する方法、戦闘の訓練法等を教育した。


 そこから、レイ達が色々な場所で強制労働をさせられていた獣人達を開放していった。


 レジー達の組織は、瞬く間に大きくなっていった。それと、同時に国も無視出来ない所まで、話は大きくなって言った。


 西大陸は、ゴットアベンジャーの勢力にある。

 レイ達の奴隷解放作戦は、彼らの耳にも入って行く。


「西大陸で獣人共が暴れているなんて、嘘みたいな報告だぜ」


「どこの、馬鹿だろうね」


 筋肉隆々のオーガである、オウガにキキがヘルバウンドに乗りながら、連絡があった鉱山に向かっていた。


 巨大なフェンリルが、落ちてくるとオウガとキキに挨拶をする。


「大物食らいに鬼姫、久しぶりです」


「ラッキースターじゃねえか! 元気そうだな」


「そうだね。強くなったじゃないか……」


 微笑むキキにリリーナはうれしそうに微笑む。


「はい!」


 オウガ達は、レイ達がいる、隠れ里の近くまで来ていた。


 炎の夜から数年ぶりに、レイは実の姉に会う事になる。


 






 

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