閉話 ココとナターシャとハチミツ
とある日の隠れ里での話〜
その日、珍しくレイはココを、叱っていた。レイ達が解放した、人達の為に協力者の貴族宛に徹夜で書いた書類を、お菓子のカスとジュースでダメにしたからだ。
普段なら、すぐ謝るが前日、楽しみにしていたピクニックを、緊急連絡を受けたレイが破ってしまった為、意地になっていた。
「ダメじゃないか! これは助けた人達を守る為の大事な書類なんだ! 謝りなさい!」
「わるい、ない! レイパパ、ごめん、して!」
「悪いのはココじゃないか! 悪い子はおやつはなしだよ? 嫌なら謝りなさい!」
自分との約束を破ったうえにおやつをなしと、言われたココは涙目で窓から飛んで行く。
「レイパパ! ばか、うそつき!」
「コラ! 待ちなさい! …うそつき?」
昨日、隠れ家に隠れている人が帝国の襲撃の可能性が高いとゆう、緊急連絡で出動してバタバタしていた為、約束を忘れていた。
♢♢♢
泣きながら飛んでいるとナターシャが見えたのでナターシャに飛びついた。
「…ヒック…ッ…ナターシャ!」
「え? ココ? ぐはっ!」
かなりのスピードで、ナターシャに飛びついた為、溝内にめり込みかなり痛かった。
「はぁはぁ…どぎついのが、入りましたわ」
「ナターシャ〜! ウワーーン!」
ナターシャはココが、泣き止むを待ってから近くの切り株に座り、話を聞く事にした。
「そう、昨日レイがココとの約束を破ったのにココに謝らないから、自分が悪い事をしたとわかっていても素直になれなかったんですの?」
「うん、ココ、わるいけど! レイパパ、わるい!」
「昨日はレイが行かなければたくさんの方が亡くなっていたかも知れないの、だから許してあげて、ずっと一緒にいたから良く知っているでしょ?」
今まで大変な思いをして、戦って来たのを1番良く知っていた。寝る時も、食事の時も、戦いの中でも一緒にいたからだ。
常日頃から戦えない自分が情けなくて、傷つくレイが悲しく思っていた。
約束を破った理由を知った、罪悪感がのし掛かった。
「ココ、レイパパ、あやまる!」
「偉いですわ! では、謝りに行きましょう!」
「ナターシャ、まつ! ごめんの、プレゼント、する!」
プレゼントをすれば許してくれるのと、喜んでくれると考えた。
「いい考えですわ! プレゼントかぁ? うーん」
「ナターシャ、甘い、ブーン、むし!」
「なるほど、ハチミツならわたくし、取れる所に心あたりがありますわ!」
ナターシャの謎の理解力のお陰で、すんなり話は進み、2人はハチミツを取りに出かけた。
♢♢♢
森に囲まれた隠れ里は、谷や山や川と自然に囲まれたうえに人はまずこない程、入り組んでいる。
ハチミツも難しくはないが、モンスターも多いので注意が必要だ。
「ウォタースラッシュやりましたわ、ココ!」
ビックアントを魔法で倒した後、ポケットに隠れているココに話し掛ける。
「ありがとう、ナターシャ!」
戦闘をしていた近くの、木に蜜蜂の巣があり、ハチが飛び回っていた。
「ありましたわ、ココ!」
「あったー、ナターシャ、どうやってとる?」
「まずは、石をぶつけて蜂の巣が落ちたら、ハチが出てくるので、低い所に逃げてから急いで蜂の巣を取って逃げる!」
ココはナターシャの説明を聞き、不安しかなかった。ココは忘れていたナターシャは、肝心な時によく抜けている事に…
「ナターシャ、それ、ダメ!」
「大丈夫ですわ。それ!」
投げた石は蜂の巣にあたり、落ちる。
遠くからレイが2人を呼びながら近づいてきていた、約束を思い出し探していたらだ。
アイカがナターシャとココを見ていて追いかけて来たのだ。
「レイパパ! ダメーーー!」
本気の叫びは超音波となり、ハチ達は全滅していた。
「ーーっなんだ! 今のは! 耳がキンキンする」
「ごめんなさい! ココ、わるい!」
涙目でレイに抱きついた。レイは驚きながらもココを抱きしめる。
「オレも約束を破ってごめんな。あんなに楽しみにしていたのに…」
「ナターシャ、きいた。ココ、わるい!」
「そうだ、ココ。ナターシャは? 一緒なんだろ?」
「あっ、ナターシャ、あそこ!」
ココが茂みを指をさすと、ナターシャが目を回して倒れていた。
「世界が回りますわー!」
ナターシャが回復するのを待ったあと、ココから蜂の巣を貰った、ココからのプレゼントに感激していた。
「ココがオレに! ありがとう!」
蜂の巣からハチミツを取り、アイカにバウンドケーキを作ってもらった、ココは笑顔だった。
レイとの仲直りとレイと共に戦う力を手に入れたから、これからは自分も戦える。
みんなで食べたバウンドケーキは、甘くて幸せの味がした。
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