第5話 燃え上がる衝撃
祖父であるディネスト領に向けて馬車をはしらせていた。
スタンリーとレインは、独立解放前線の解放者を隠れ里までの護衛の為にいない。
いるのはレイ、カイン、アイカ、ココ、ナターシャ、ウィンドラが同行している。
ウィンドラとココは、空から遠くまで偵察しているので安全の確保はしっかりしていた。
「ウィンドラがいると安心感が違いますわね!」
「確かに違いますが、ナターシャ? レイ様に何をしているにゃー!」
馬車の中で、レイはナターシャの尻尾に巻き付かれていた。
馬車は、三台で移動しているがレイの乗る馬車にナターシャが勢いよく乗り込み、アイカが怒っても離さないからレイも諦めていた。
「いやです! 寒くなって来たし、レイがいれば暖かいから丁度いいのですわ!」
「オレも少し暖かいよ」
ナターシャの鱗はツルツルして肌触りはいいが、暖かくは無いぬるい感じがする。
雪は降っていないが少し肌寒い、ナーガ族は寒いのが苦手なのでレイにくっ付いていると暖かいのだ。
「ただいま! うー、空は少し寒いよ!」
「ココ! ざむい!」
馬車のドアがバタンと開き冷たい風と共にウィンドラとココが乗り込んでくる。
ココは歯をガタガタさせながら寒そうにしているがウィンドラは少し寒い程度だ。
「まだ、やってるのかい? ボクも混ぜてよ!」
「ココ! 混ざる!」
ココはコートに入り込み、ウィンドラはその羽根でレイとナターシャを包み込む。
「暖かいな」
ウィンドラの羽根が羽毛布団のようになり、アイカ以外を温める。
暖かそうな、レイとナターシャを見たアイカはウィンドラの羽根に飛び込む。
「私も我慢してたのに……私もはいるにゃー!」
アイカもレイに抱き始める。
「ナターシャ! 尻尾が邪魔! どかしなさいにゃー!」
「寒いのですからしょうがないでしょう!」
「あ、そうだ! 思い出した! ナターシャ離してくれるかい?」
離せと言われたナターシャはショックをうけていた。
「わたくしが嫌ですの?」
涙目で訴えるナターシャにレイは、自分の荷物からモコモコの暖かい服やズボンやスカートに耳当てやマフラーを渡す。
「これから寒くなるからね、種族別に作ってもらったんだ! 風邪を引くと大変だからね!」
暖かい服や道具を貰った。アイカとココとナターシャは抱き着きながら礼を言う。
「「「ありがとう」」」
「レイ様!」
「レイ!」
「レイパパ!」
「助かるよ、レイ」
ウィンドラは、照れ臭そうに感謝をつたえた。
「どういたしまして、みんな!」
ディネスト家に近づいた時、空に黒煙みえてくる。
「あっ、あれは! ウィンドラ!」
「ボクに任せてよ!」
ウィンドラは、馬車の扉を勢いよく開けると空に飛んでいく。
しばらく、してウィンドラが慌てて帰って来た!
「大変だ! ディネスト家が、燃えているよ!」
「!?」
「すまないが急いでくれ!」
スピードを上げる馬車の中で、カトリック家崩壊の悪夢が蘇る。
「一体、何が起きている……」
「レイ様……」
「「レイ……」」
「レイパパ……」
レイの手をみんなが握り締めてくれる。
「ありがとう、みんな……」
みんなから、勇気を貰ったが嫌な予感が消える事はなかった。
ディネスト家は燃え上がり、暗闇の中で周りを照らしている。
家の前で誰かが首を片手で持ち上げ、締め上げられている。
火事の光に照らされて誰が誰の首を閉めているのかがわかった。
「お爺様ーー!」
グレイブがレイの祖父、ゴーラ・ディネストの首を閉めていた。
レイに気付いたグレイブはニヤーと笑う。
「グレイブーー! やめろーー!」
空いている手でゴーラの腹をつら抜いた。
叫ぶレイを嘲笑うようにグレイブはゴーラから手を引き抜いた後、レイに投げつける。
「お爺様! 気をしっかりしてください!」
涙を流すレイに、ゴーラは残る力を振り絞るように泣きながら話す。
「……許してくれ。全て私のせいだ……」
「何を、何を言っているのですか?」
「あの子を……レイ! あの子を助けてくれ! お前は……お前だけは、間違わないでくれ。頼む!」
懇願するような、ゴーラを見てレイは混乱していた。
「マリア……すまな……かった」
謝りながら亡くなった。目を見を開くゴーラの目を閉じながら、泣きながらグレイブを睨む。
「貴様よくも……よくもお爺様を……」
ドォォォオオーーン!!!
凄まじい地震を起こしながら、巨大な狼が降り立つ……
「母様!!」
「マリア様!!」
驚愕する、レイとアイカ。
狼の背中には、亡くなったはずのレイの母マリアがいた……
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