第2話 クローガン収容所襲撃
クローガン収容所の地下に広がる実験室では様々な実験を行われていた。
「今日の実験は、獣人8種から魔素を抜く実験の後は、内臓にどのような変化があるか? と人種に対しての薬物投与による経過が、10種類かわかった。それぞれ最低5名ずつ用意してくれ」
所長・メンタル・ウォーゲルは黒髪のオールバックの40代の気難しい男性の痩せ型で常に眉間に深いシワがあった。
「ボスから今週は、新しい薬が20種は送られて来るそうです」
「はぁー! またか、被験体は無くなる事は無いがこうも多くては……」
「楽しみがないとやってられないですよ!」
若い研究員がニヤつきながら話をする。
「ほどほどにしろよ、お前達。あー、そうだ! ついでに、新しく入った薬のデータも取ってくれ。確か……」
机にある沢山の書類から1枚取り出すと渡した。
「げっ、こんなに! オレ達だけだと足りませんよ。これは……」
「兵士を何人か連れて行け! アイツらすぐに殺すから、気をつけてくれよ」
「わかりました。しかし、よくコレだけの薬がありますね?」
額のシワがさらに深くなる。それに気づいた若い研究員が慌てる。
「余計な詮索はするな被験体になりたくはないだろ? 君も……」
顔面蒼白の若い研究員達はすぐに謝罪して部屋を出て行く。
メンタルも不思議だった。どう作ったか理解できない薬に道具がボスから送られる。
そして、なにに使うかわからない研究内容の数々に……
ボスについては知らなかった。知ろうとしたヤツは必ずいなくなる。見えない、わからないから恐ろしい……
「はぁー、疲れた。補充要員が来ても、全く足りない!」
慌ただしい足音が近づいてくる。研究員が慌てて入室してくる。
「襲撃です! クローガン収容所が襲撃されています!」
「なんだと! 急ぎ、状況確認をしろ! 研究データだけは絶対に守れ!」
「わかりました」
慌ただしい夜が始まったーー
♢♢♢
クローガン収容所・襲撃数時間前〜
クローガン収容所から離れた丘の上にレイ達は隠れ潜んでいた。闇夜に紛れてクローガン収容所を襲撃する作戦になっていた。
「スタンリー達は下水道から侵入した後、監視塔四棟の無力化の後に跳ね橋を下ろしてくれ」
スタンリー達リザードマン達は、やる気満々で答えてくれる。相変わらず、頼もしい。
「オウ! 任せてくれ!」
「跳ね橋が降りた後は正門からはレイン達が、裏門からはアイカ達が襲撃! それぞれの兵舎の占拠の後は、投獄されている人達の救出と、保護又は治療を頼みます。いいですね」
2人の部隊は様々な種族で構成されている。もちろん、獣人の他に人種もいるがレジスタンスには気にする者はいない。みんな迫害され、レジスタンスに来た、家族や大切な人を守る為に戦っている。
「はい! レイ様!」
「了解だ! レイくん!」
2人も緊張の面持ちで返事をする。今回の作戦はレジスタンス結成してから最大の作戦になる。
作戦が成功すれば、帝国に大きな楔を打つ事ができる。そして、迫害を受けている人達の反撃の一手になるだろう。
「ナターシャ達は、オレと共に通気口から侵入して中央指令室を占拠の後、地下施設に侵入し占拠の後は死の商人に関する情報の獲得の後は、破壊する」
「わかりましたわ!」
ナターシャの部隊のナーガ達もうなずく。
「みんな、すまないがオレの兄であるウォルスタン・カトリックが投獄されている。見つけ次第、保護を頼む」
大切な作戦に、自分の都合を言うのは申し訳なかったが、チャンスを生かしたい……
「なにを言ってるんだ! 当たり前だろ!」
「スタンリーの言う通りですわ! お兄様なら助けて当然です!」
「レイ様……」
アイカが、言いたい事はすぐにわかる。
レインは静かに頷いていた。
「ありがとうみんな!」
「最後に作戦は19時から始める時計を合わせる」
懐中時計の時間にみんなが合わせる。
リザードマン達の時計には、動物の内臓を極限まで薄くして水が入らないようにしている。
「各自、時間まで持ち場で待機するように、以上! 解散!」
動き始めるみんなを見ながら、作戦について穴は無いが考えていた。
ナターシャ達と共に移動を開始した。すぐに時間になり作戦が実行される。
オレとナターシャ達は通気口を見つけるとネジを、オレが念力で外して、ナターシャ達はスルスルと入り侵入して行く。オレ達は小声で静かに話をする。
「行きますわよ」
「ナターシャ頼むよ」
ナターシャの尻尾を俺の体に巻き付け、他のナーガがナターシャを引っ張ると体は浮き通気口にはいる。
通気口はかなり汚く蜘蛛の巣もあるが気にしてもしょうがない。酷い匂いを我慢して、中央指令室までは一度に行けないので部屋に侵入し移動する。
ココに安全を確認してもらいながら、兵士を1人ずつナーガ達が倒していく。
「ぐはっ!」
ナーガ達は長い尻尾で、兵士の首を折り天井に隠していく。見事な暗殺だ。
「さすがだな、見事だ」
「すごい、すごい」
ココとオレは小声で話ながら進んでいく。
ナーガ達は息の合ったコンビネーションで、兵士を同時に2人までなら倒していく。
「天井が抜けたら大変だ、死角になる所や大きな箱状の中に隠してくれ」
「わかりました、いいわね。みんな……」
ナーガ達は静かに頷く。
中央指令室の天井についた。天井から部屋を見ていた。
中央指令室では兵士達が遊んでいた。トランプみたいな物でギャンブルをしている。
「オレの勝ちだ! ほら、チップを寄越せ!」
「獄長は相変わらず、容赦ありませんな!」
脂肪たっぷりのスキルヘッドが獄長のようだ。
「しかし、地下ではどんな研究をしているんだろうな? 毎日毎日、大量に殺しおって! 誰が片付けると思ってるんだ! まったく!」
トランプの手配を見ながら、獄長が悪態をつくと他の兵士が青ざめる。
「獄長! ダメですよー! 誰がに聞かれたら大変な事に……」
「うるさい! おかげで調理をする奴らから頭がおかしいのが増えて困るぞ!」
「肉には困りませんからな、囚人共には丁度いいでしょう」
アイツら亡くなった人達を捕まった人達に、食わせているのか? 信じられない。外道だ。
「なんでも″薬物で死んだ生物別に他の生物が食べた場合どのような結果になるか?″ の研究らしいです」
「そんな物を知って何になるんだ。気持ち悪い奴らだ、まったく」
葉巻を吸う獄長達に、オレやナターシャ達は怒りで震えていた。情報はもう十分だ。
天井から飛び降りナーガ達が、他の兵士を折りたたみの槍で刺して倒す。
「な、なんだ貴様達は! 私はこのクローガン収容所の獄長だぞ? 無礼者が!」
「知っている、まずはウォルスタン・カトリックはどこにいる? 答えろ!」
オレの剣幕に押された獄長が、尻餅をつきながら震える声で叫んだ。
「ウ、ウォルスタン・カトリックだと? あの反逆者か? お前はカトリック家の残党かー!」
「フンッ!」
剣で獄長の右腕を切り落とし、血が吹き出しながら、喚きだした。
「えっ? わ、私の腕がー! 腕がー!」
冷酷にもう一度、獄長に質問する。
「もう1度だけ質問する! ウォルスタン・カトリックはどこだ!」
震えながら、青ざめた獄長が答える。
「ち、地下施設のと、特別牢獄だ! だがな私と所長の鍵が無いとあ、開かないぞ!」
「わかった。豚にも劣るお前にプレゼントだ。受け取れ」
亡くなった人達の、怒りや悲しみの霊達がたくさん周りにいた。
亡くなった人達を、獄長に見えるようにしてやった。
「な、なんだ? お前達は? 助けてくれ、私は命令されただけだ…」
足元や壁から亡くなった人達の怨念や怒りを受けた獄長は、顔面蒼白になりながら部屋を暴れ続けるだろう。永遠に……
獄長から鍵を奪った時に、外で騒ぎが起きていた。みんなが、やってくれたらしいな。
「みんな地下施設に行くぞ!」
「わかりましたわ。行きますわよ、みんな!」
「「「はい!」」」
急ぐオレ達はここまでの作戦は成功している。
しかし、本番は地下施設。所長を押えなければ失敗してしまう。
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