第4話 不思議な卵


 レイン先生から剣術を習った後は、自分で武技の特訓をしていた。

 霊能力を組み合わせたいがなかなか上手くいかない。


 メイド服のアイカが、お茶を運んできてくれた。


「回転切り!」


「……お茶にしましょうか?」


「ありがとうアイカ」


「どうですか? 調子の方は?」


「なかなか上手く行かないよ。なんか閃きってゆうかヒントっていうか……別の環境の方がいいのかな? うーん」


「別の環境ですか?」


「例えば、海や山や湖とか川とかかな?」


「湖ならありますよ」


「えっ! あるの湖が!」


 メイドは、屋敷にあるカトリック家の敷地の地図がある部屋の掃除もするので、その時に、エリカから聞いたようだ。


 カトリック家の領地が広いのは知っていたが、湖があるのは知らなかった。


「じゃあ、湖に行くかな」


「ダメですよ、勝手にお屋敷を出ては……」


「うーん、じゃあさ、みんなで行こう!」


「えっ! みんなで、ですか?」


 母様がいる部屋に行き、扉を勢い良く開けた。


「母様、みんなで湖にいきましょう」


「突然どうしたの?」


 マリア・カトリック、藍色のロングに金色の瞳でオレから見ても、絶世の美人の母様が目を見開き、驚いている。


「剣術の修行で、湖に行きたいのです」


「それはいい考えね」


「母様、街に水着を買いに行きましょう」


 街には、行った事がない。とゆうか、敷地内から出た事がない。いい機会だから、街に行きたかったがすぐに、機会は失われる。


「その必要はないわ、マコ」


 メイドのマコが黒電話を持ってきた。


「遠くの人と話をする魔導具よ、一部の貴族と一部の商人が持っているわ。早速、ハルクトベル商会に連絡して水着を持ってきてもらうのよ」


「母様! みんなの水着もお願いします」


「みんなの? アルル達の事?」


「いつもお世話になっているので一緒に湖に行きたいのです」


「「「「「レイ様……」」」」」


 気がつくとメイドが全員揃っていた。


「優しい子に育ってくれて、母さんうれしいわ。明日はみんなで、湖に行きましょう」


 ハルクトベル商会のウォーカルが来た。昔からカトリック家に来ている商人で、頭が薄く、太り気味の男だが思いやりのある優しい人物だ。


「このウォーカルにお任せ下さい。必ず気にいる水着を用意します。奥様、今後ともよろしくお願いします」


「みんなが、好きそうなのをお願いします」


 次の日ーー


 馬車で湖まできたが、以外に近くにあった。

 快晴になり剣術の練習にはちょどいい。


 湖に入ると水は冷たくて気持ちいい。

 技を繰り出してみる。


「武技・一閃!」


 水飛沫が上がりかなりの負担があるが悪くない。


「武技・回転斬り!」


 剣術の訓練をしていると、みんなが水着であらわれた。


「どうですか? レイ様?」


 前屈みでアイカが質問してきたので、素直に答える。


「みんなよく似合っているし、湖に来て正解だったよ。技に今までない感触がある……」


「なんだかついでに、褒められた感じ……」


 ムスッとするアイカを無視して鍛錬を、続けていた。


「余り根を詰めないように、息抜きも大事ですよー」


「ありがとうございます、母様」


 水中で木刀を振るたり色々と試していたが、確実に技のキレが上がっていた。

 しばらくすると、アイカが一緒に遊ぼうと誘われたので、水を掛け合って遊んでいた。


 不意に足を引っ張られて、水中に引きずり込まれる。


(久々だな、新しい場所に来ると、これだ)


 足に長い髪の女の子や子供の獣人が、数珠繋ぎでオレを引っ張っていた。


 水中で、両手を合わせて、水中がキラキラと光り、成仏する。


 水中から戻るとアイカが興奮していた。


「レイ様! なんか水中で光りましたよね」


「太陽の光だよ」


 ごまかしたが、アイカは納得してはいなかった。


 母様とマコは砂浜で本を日傘の下で読んだり、日焼けを楽しんだりしていた。

 湖で遊んでいると、川上からタマゴが流れてきた。


「タマゴだ! タマゴが流れてきたー!」


「にゃー? タマゴ?」


 しばらく湖で遊んだあと、タマゴは持ち帰る事にした。タマゴはなんかワクワクする。

 


♢♢♢



 タマゴを2人で温めている事が日課になりつつある。

 母様やメイド達は、最初は反対していたが「絶対に、大丈夫!」のゴリ押しと「ボクが責任を持って面倒を見る!」の謎の自信で押し通した。


 布団で謎のタマゴを温めながら、アイカと話をした。


「本当に大丈夫なんですか?」


「ボクとアイカが温めてるし、大丈夫だ」


「その自信はどこからくるんですか?」


 3日程、温めた朝に事件が起きた。


「にゃー、タマゴにヒビが……」


「うーん、どうしたの?」


 起きると、隣でアイカが騒いでいる。


「タマゴにヒビです、起きて下さい」


「本当?」


 タマゴが割れて手の平サイズの鳥? 蛇? 小人? が生まれた。

 下半身は赤い蛇、赤い羽に上半身が火のように赤い髪にルビーのような瞳だった。


「かわいい、女の子だ」


「にゃー、かわいい!! でも見た事も、聞いた事もない種族ですね」


 お湯と食べ物を用意してもらい、タオルをお湯にけ、冷ましてから人肌で拭いていく。

 気持ち良さそうに目を細めてくつろいでいるみたいだ。


 ミルクを脱脂綿に付けてから少しずつ飲ましていくとよく飲む。

 ミルクを飲んだら「ゲプッ」と言ってから眠った。


「かわいいな! 名前を考えないとな?」


「それにしても、全体的に赤い子ですね!」


 うーん? 赤い羽に白い羽か前世に子供の頃、ニワトリ飼ってたよな、面倒を見れば見る程かわいかったな。

 

「……ココなんて、どうだろか?」


「ココですか? ……かわいいですか。なんで、ココなんですか?」


(ニワトリが、コケコッコーで、ココなんだけど……)


「インスピレーション? かな?」


「にゃ? にゃんで疑問系? でもココちゃんか……いいですね!」


 一月ぐらいがたったが、ココは大きくはならなかった。

 片言で話をしたので、みんな驚いていた。


「レイパパ、アイカママ、あそぶ!」


 ココはインディアンの民族衣装の様な服を着ている。もちろんロングスカートだ。


「しょうがないな、ココは。アイカもそろそろ慣れようか?」


「にゃー、なれないにゃー、夫婦みたいにゃー」


 ずっとこんな感じでモジモジしながら、ニヤニヤしている。自由に飛べるが、長くは飛べないようで、腕か首周りに蛇の尻尾で巻きつきながら、頬をスリスリしてくる。


 羽を上手く使い、簡単な物は自由に持てるし、蛇の様に素早い移動もできる。

 最近ではボクの服の中によく隠れている。


 楽しい日々が過ぎて5年の月日が過ぎた時に、ボクは信じられない事を知ってしまう……

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