episode2 入学式
この地獄のような時間は、いつ終わるのでしょうか?助けてください。足が震えてきてます。とりあえずの深呼吸をします。
ふぅーー はぁーー ふぅーー はぁーー
落ち着かない!もう、終わりだ!この世の終わりだ!あー、あー、あー、どうしよう!あ!先生!なんか喋って!ホームルームして!お願い!
・・・・・私の願いは届かない。
うん、そうだよね。だって、心の中で祈っただけだもん。届くはずがない。当たり前のことだ。なのに、なんでこんなに悲しいのだろうか。人間って、不思議・・・
んで、いつになったら入学式は始まるのかな?あ、説明してなかったから今から説明するけど、このご時世(今は、2020年)さ、コロナの猛威が凄いことになってるじゃん。だから、密をさけるためにテレビで中継してやるんだって!
だから、急に始まるの!中学校の時もあったから、分かるんだよね。他の知らない人は、ビックリなんじゃないかな?よく分からないけど・・・
「ただいまより、第○回 ダリア高等学校入学式を開始いたします。一同、起立! 礼 着席」
つ・い・に!入学式が始まったぜー!ウェーイ!ウェーイ!これで、まだマシになるな!足の震えよ!よかったなぁー、私の足!
「校長訓辞」
あ、やっぱ入学式は最悪だわ。あの、校長なんでしょ?訓辞やるの。中学校から、同じ人だから分かるんだけど、話が長ーーーいのよ。しかも、だいたいの校長先生が持ってる、あの紙を持ってないの!蛇腹折になってる白い紙!だから、ベラベラベラベラずぅっと話してるの!迷惑なのよ!
「えー、本日は、ダリア高等学校の入学式を、えー、無事に執り行えたことを、えー、大変喜ばしく思います」
うん、話が長いだけじゃなくて『えー』って言うのが多いんですよ。うん。周りを見回してみたけど、みんなちゃんと聞いてるわ。えらい!私も見習わなきゃね。
はい、ウトウトしてきましたよー。やっぱりですね!見習わなきゃとか言ってたの、誰でしたっけ?・・・
静かに寝てれば、バレないかな☆
・・・
・・・・・
・・・・・・・
「一同、起立 礼」
うわっ!ビックリした!いつの間に終わってたの?目が覚めたからできたけど、危なかった!
「続いて、理事長訓辞」
で、でたーーー!RI ZI TYO U!校長先生以上に話が長いんだ!これは、睡眠コースまっしぐらではないですか!バレないように寝られるかな?
寝てても、意識はあることってあるよね。今は、そんな状況ぽい。でも、この時の記憶って起きたら全然ないんだよね。
では、この時間はなんなのか?
さぁ、知るわけないじゃん。私にそんなこと聞かれても困るんだけど。てか、問いかけてるのも私なんだけど。は?何やってるんだろう。もう、眠すぎてなんだか分からないよ。
「一同、起立 礼 着席」
お、おう。今回はしっかり反応出来たと思うぞ!『反省を活かして、次に活用する』人生で大切なことだといろんな人が言ってるよね。
まぁ、なんやかんやいろんな人のお話を聞いて聞いて聞いて聞いて、やっっっっっと入学式が終わった!ヤッホーイ!
うん、帰れるわけじゃないんだよね。知ってたよ。ホームルームをやるんだ。知ってる。
「はい、ではー、はじめまして!1年3組の担任のタカハシです。1年間、よろしくお願いします」
先生の勢いすごいなぁ。元気だ。でも、ガッツでどうにかなるみたいな事を言うような先生じゃなさそうなのが嬉しい!そういう先生だったら、私、トコトン嫌いになって、態度が悪ぅなってしまうでありんす。
あるあるよね。プリント、書類、生徒手帳とか渡されるやーつ。てか、生徒手帳の色が焦げ茶色ってなんかダサい。やだな。
最初のホームルームは、しっかり聞いとかないと後々大変なことになるかもしれないから、ピシッとしてましょ!
うんうん。理解しやしたー!そんなこんなでホームルームも終わりかな?終われ!終われ!早く帰りたい!
「では、外に出てみんなで記念撮影をして解散します。荷物を残していかないようにしましょう。はい、では移動してくださーい」
了解でーす。やっぱ、まだみんな友達がいないからボッチ行動だよね・・・?
「私、リノっていうの!よろしくね」
「え!私は、リノン!似てるね、名前!」
「ほんとだー!」
嘘だろ!?なんであそこ、仲良くなってるんだ?初日だぞ!た、楽しそうに話してる!?混ざりたいが、無理だ・・・そんな勇気、私にはない。
というわけで、談笑してるところを置いていき、さっさと行動しましょ。見たくない、あんな光景。自分が惨めに思えるんですもの。
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靴を履いて、外に出る。空はいい感じに青いが、風が強い。桜の花びらがビュンビュン飛んでいる。
「じゃあ、3組はここで撮りまーす」
やっぱりそこで撮るんだ。桜の木がいい感じに被さって、めっちゃ綺麗なところ。何回も撮ったことあるなぁ。
「ダリア高校ってすごいね。こんなところもあるんだ!」
「ほんとだね。しかも、これから通うんだよね」
「ねー!楽しみだね!」
はーい、相変わらず楽しそう。混ぜてもらおうかな・・・いやー、無理やて。たぶん、話せなくなるもんなぁ。内心なら、何回も話しかけてるんだけどなぁ・・・
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