痺れる拳
糸が切れる音がしたのは、ついさっきだったか。それともずっと前のことか。耳の傍で鳴ったようにも、どこか遠くで響いたようにも思えた。
「はは……手が、痛いや」
錆びた鉄みたいな臭いが鼻を突く。僕は足元を見るのが恐かった。
そこに在るのが何なのか、知るのが恐かったんだ。
【お題:糸】
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