向こう側


 その川は常に僕の傍を流れていた。

「簡単だろ。飛び越えて来なよ」

 いつも向こう側から君が呼ぶ。辛くて、苦しくて、一度だけその声に応えた。右足を踏み出す。君は嬉しそうに笑った。

 辛い。苦しい。ああでも、それでも僕は、まだ。

「生きていたい……」

 白い天井の下、僕は目を覚ました。




【お題:川】

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