第627話 ジ・アンタッチャボー
ポウ 「…っ、別に! 放置していたわけではない! ちゃんと都度、領主に苦情は伝えていたんだからね!
…というか、いくらルイに非があるとは言え、いくらなんでも
リュー 「こいつはエライザの胸を揉んだんだ、当然の罰だ。俺が温厚だから命までは取られなかったのはラッキーだったな」
ポウ 「温厚……? ルイの両手は燃え尽きてるようだが…」
リュー 「ふん、手がなければもう悪さもできまい。だいたい、その痴漢男の被害者は随分たくさん居るそうじゃないか? 街でちゃんとコイツを取り締まっていれば、
ポウ 「それはそうなんだが…相手は領主だぞ、あまり事を荒立てるわけにもいかんのだよ…」
エライザ 「冒険者ギルドっていうのは国や領からは独立した組織だって聞いたんだけど?」
ポウ 「…建前はそうだが、現実には色々あるんだよ…。生意気な奴らめ、名前とランクは? 俺は名乗ったぞ?」
エライザ 「エライザよ。この間登録したばかりのFランク」
リュー 「俺は~」
ポウ 「何!? Fランクだと?! 新人がギルマスに意見とは生意気だな。というか、Fランクの新人にルイはやられたのか? ルイは一応Bランクだったはずだが…」
メリンダ 「いえ、やったのはそちらの…」
リュー 「俺は、リュージーン。エスランクだ」
ポウ 「ん……? エ “フ” ランク、と、言ったんだよな?」
リュー 「エ “ス” ランクだよ」
ポウ 「……は?
おい、嘘を着くなよ? ランク詐称は重罪だぞ? 本当だと言うならギルドカードを見せてみろ」
リュー 「ほれ」
ポウ 「おい、チェックしろ」
メリンダ 「いえ、もう、先程確認させて頂きました。本物です、間違いありません。しかも、彼については、国のギルド本部から特級の警告が出ています。特級アンタッチャブル指定と」
ポウ 「んん? 何だソレは? 問題児なのか?」
メリンダ 「さぁ? 私に訊かれても分かりません。警告の詳しい内容については問い合わせていますが…
…でもまぁSランクですから。こんな辺境の小ギルドのマスターにどうにかできる相手でないのは確かですね」
ポウ 「ムグゥ…、だ、だが。サルタ子爵はルイをとてもかわいがっている。息子がこんな目に合わされて、黙っているとは思えん……」
エライザ 「仮に領主が何か言ってきたとしても、冒険者を守るのが冒険者ギルドの義務じゃないの?」
ポウ 「は、犯罪を犯した冒険者は…、除名して領主に引き渡すのは、普通の事だ」
メリンダ 「Sランク冒険者ですから。除名するにしても引き渡すにしても、本部の許可を仰いだほうがよいのでは?」
リュー 「犯罪? 正当防衛だよ。かわいい娘を穢されて、怒らない父親はいないだろう」
メリンダ 「え? お二人は、
リュー 「ああ、エライザは俺の娘だ」
メリンダ 「ああ、なるほど! それなら怒るのも分かります。私も、もし田舎の父がこの街に居たら、絶対にルイをぶっ殺していたと思いますからね」
ポウ 「…俺にもまだ小さいが娘が居る。もし娘にイタズラするヤツがいたらぶっ殺してやる」
リュー 「そうだろ? 俺は殺してないんだから、優しい方だと思うぞ? てか、娘が居るのに、あんな男を野放しにしていたのかよ!」
ポウ 「だから、これでも必死でなんとかしようとはしていたのだ…。だが、ここの領主はかなり横暴な人物でな。言って聞く相手ではないのだよ…」
メリンダ 「ええ、商業ギルドのマスターなど、苦情も上げてないそうですからね。それに比べれば、ウチのギルマスはかなり
ポウ 「……力及ばずスマン……」
リュー 「…まぁ、いい。ギルドは何もする必要はないさ。領主には、文句があるならリュージーンに直接言えと伝えておけ。俺は逃げも隠れもせん、とな」
ポウ 「…いいのか? 腕に覚えがあるんのは分かるが、相手は貴族だ、権力を使われると…」
リュー 「ふん、敵対する貴族は潰すだけだ。俺はこの国の王に、不良貴族は粛清してよいと許可を貰ってるんでな」
ポウ 「何? 許可だと?」
メリンダ 「ああ! 聞いた事があります! ほら! 先のクーデターを鎮圧したのはエド王の懐刀の冒険者だったという噂! その冒険者が、諸国を回って世直し旅をしているとか! それがアナタなのですね!?」
リュー 「クーデターの件なら俺の仲間が鎮圧したが……懐刀になった覚えはないし、世直し旅もした覚えはないんだがな。ただまぁ、エド王から『不良貴族は
メリンダ 「アンタッチャブル指定って、もしかして、国王様発信……?」
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次回予告
これだから貴族は…
乞うご期待!
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