第408話 リューの無双ぶりに頭を抱えるミィ
パーシヴァルとエヴァンスも剣でどんどんゴブリンを斬り散らかしていく。なんだか喜々とした雰囲気も感じる、やはり暴れたかったのかもしれない。
リュー達のそれは、もはや戦いというより作業であった。数十匹のゴブリンなど、リュー達にかかれば草でも刈るように十数秒で殲滅完了である。
ゴブリンの死体はそのまま放置していく事にした。体内にある魔石を取り出して持って帰れば一応売れるのだが、僅かな金にしかならないので割に合わないのだ。
そこから何度も魔物の群れに遭遇したが、ほとんど作業のように魔物を刈りながら進んでいくリュー達。
だがおかしい。たくさんの冒険者達とすれ違う。全員撤退の途中のようだ。中には声を掛けてくれる冒険者も居た。
『おい、数が多いぞ、とんでもない数だ。気をつけろよ』
確かに、数が多い。
最初はゴブリン五十匹。次はコボルト百匹。一角ウサギ百五十匹、オーク三百匹。
奥に進むごとに倍倍と増えていくようである。オークに遭遇したあたりで、冒険者達がどんどん撤退してくる。
オークは、初心の冒険者が一人で戦えと言われたら難しい相手であろうが、パーテイであれば、数が少なければ十分仕留められるだろう。しかし、三百匹となると話は別である。その数では中級~上級の冒険者パーティでもかなりキツいだろう。
ミィ 「私達も撤退したほうがいいのでは…?」
リュー 「別にあの程度、問題ないだろ?」
リューが躊躇なく進んで行ってしまうので、仕方なくミィも後をついていく。
戦闘開始。
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そして終了。
ヴェラとミィがそれぞれオークを数匹倒しているあいだに、リューとランスロット達が残り全てを斬り飛ばしてしまっていた。
ゴブリンの死体は放置して行ったが、オークは違う。オークは肉が美味いので高く売れるのだ。
リューは斃したオークは片端からすべて亜空間に収納していった。解体処理は金を払ってギルドに頼めば良いだろう。
リュー 「情報通り、獲物がたくさん採れるダンジョンなんだな。冒険者が集まってくるのも分かる」
ミイ 「はぁっ、はぁっ……いえ、違います、なんかおかしいですよ……。私が以前入った時は、こんなじゃありませんでした。魔物は出てもせいぜい五匹~十匹というところ、百も二百も出るなんて……」
リュー 「そうなのか? まぁたくさん採れて助かるけどな。どんどん行こうか」
ミィ 「あ、待って下さい~」
どんどん先に進んでしまうリュー。
だが、まだダンジョンの一階層目の中程にも至っていないはずなのだが、気がつけば、リュー達以外の冒険者は誰もいなくなっていた。魔物に殺されたか、生きていた者は全員撤退したか。
出てくる魔物の数は増えていく一方である、冒険者達が逃げ出したのは当然の判断であろう。
だが、その後もお構いなしにどんどん進んでいってしまうリューとランスロット達。
エンカウントする魔物の数はさらに増え、しかも奥に行くほど魔物の危険度も高くなっていく。
リュー 「飽きてきたな……」
最初のうちは丁寧に一体一体斬り倒していたリューであったが、数が多すぎて、流石に面倒になってきた。単調な“草刈り”を長時間続けていても苦痛なだけだ。
とうとうリューは剣を使うのをやめ、転移で魔石を抜いて収納する方法に切り替えてしまった。
目の前に魔物が現れては、戦う事もなくバタバタと倒れ、そして消えていく。リューはまるで無人の野をあるくがごとしである。
ミィ 「あの……これは???」
リュー 「ああ、転移を使って魔物の体内から魔石を抜いて “収納” してるんだ。魔石を失うと魔物は死ぬからな」
ミィ 「……そして、死んだら魔物の死体も “収納” してるんですね…?」
リュー 「ああ、そうだ」
そう言いながらも、次々と魔物が現れ、倒れ、そして消えていく。その様子を見ながら、ミィは頭を抱えた。
ミィ 「……これが、Sランク冒険者……」
― ― ― ― ― ― ―
次回予告
マンドラゴラ発見
リュー 「なるほど、見つからないわけだ」
乞うご期待!
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